二人のキッチン
今日は田中くんの家のキッチンで、ゆきちゃんに料理を教えてもらった後、テーブルでおしゃべりを楽しみました。
音
「ゆきちゃん、ラノベも書いてるって本当?」
雪江
「学生の頃にたまたま始めたことで、いつの間にか習慣になっちゃったのよ」
音
「へぇ!お料理も得意なのに、創作までできるなんて!ゆきちゃん汚いよ!」
雪江
「えっ、汚いかしら⁉」
雪江は本気で鏡を見てチェックしている。
音
「ゆきちゃんも、かなりのものね」
「正直、感心するわ」
少し得意な雪江
「まあね!気づいたら単行本で三冊分くらいの長さになってたんだから」
音
「本当に!?長編ってモチベーションがないと続かないんじゃない?」
雪江
「簡単なことよ、最初から『長編を書こう』なんて考えてなかったから、まず最初の一つを終わらせようと思っただけなの」
音
「それって……目標の細分化、ってやつね!」
[解説]
人間の脳は、未来の長期的な作業を本能的に避けがちです。
全部を一度に考えると前頭前野が疲れてしまうからです。
だから正解は「まず一つだけ終わらせる」こと。
そうすると脳はドーパミンを出し、次の一歩が軽くなります。
雪江
「音ちゃんも書いてみたらどうかしら?あたしより博識なんだから、絶対向いていると思うわ」
音
「いやいや無理!私は、あの憧れの作家とつい比べちゃうのよね……」
雪江
「最初から上手な人なんていないよ?
自分の好きなものを書くのに、誰の許可もいらないのに」
音
「うっ、わかっているけど、グサッときた」
[解説]
雪江の言う通り、最初から上手に書けないのは当たり前ですが、多くの人はなぜかプロと比較してしまい、自分を恥じることが多いです。
しかし、創作は本来“自由な遊び”であり、脳に大きな刺激を与える行為です。
恥じる必要はまったくありません。
音
「ゆきちゃんの作品をちょっと見して!」
雪江
「見てくれるの!ありがとー!」
そう言って雪江はタブレットでテキストを見せてくれた。
音の心の声
(これ、時代劇なのかSFなのかわからない……正直言って、変!)
「な、なかなか独創的な世界観ねっ」

【後日談】
雪江さんに刺激を受けた音は、おじさんと少年のロマンスを描いた詞を真剣に執筆しました。
頑張って他の詞も書きましたが、翌朝誰にも見られないように袋に入れて処分しました。
おしまい




