
【脳は変わらないのに、世界だけが加速した。】
人間の脳の構造は、1万年前の原始の時代からほとんど変わっていません。
しかし、ボクが生きてきたわずか50年の間に、世の中の構造は信じられないほどの急激な変化を遂げました。 かつては家族みんなで足つきのテレビを囲み、黒電話のベルに驚き、机に向かって大切な誰かへ手紙を書いていた、あの静かな日々。
それが今や、自転車に乗りながら片手でスマホの画面を見つめ、無限に溢れ出る動画の海に溺れ、一瞬で送られてくる通知の画面に脳をジャックされるのが日常になっています。
器である「脳」は昔のままなのに、外側の世界だけが、処理しきれないほどのスピードと情報量で一気にボクたちを飛び越えようとしてくる。 現代人が日々感じている、あの「原因のわからない疲れ、焦り、不安、怒り」の正体は、この脳と世界の致命的なギャップ(バグ)が引き起こしているのかもしれません。
だからこそボクは、50年前の生活には普通に存在していた「何もしない時間」を、意識して大切にしたいと思っています。
それは、テレビもスマホも一切のメディアを遮断して、目の前の食材と静かに向き合う食事の時間。 あるいは、コピー用紙の裏にペンを走らせ、ただ意味のない落書きを繰り広げる、そんな時間です。
情報というノイズをすべて引き算し、脳の「デフォルトモードネットワーク」を静かに起動させる。 そんな心の余白を持つことこそが、加速しすぎる世界で自分を見失わないための、最強の生存戦略なのだと思います。

補足
『流れから距離を置く人たち。』
- 南米の熱帯雨林で伝統的な生活を続ける人々
- 北センチネル島の住民
- アルムで季節ごとに暮らす牧童たち
彼らの生活を見ていると、時間の流れそのものが違って見えます。
朝は太陽で始まり、
空腹になれば食べ、
暗くなれば眠る。
面白いのは、人間の脳が本来想定していた環境に、比較的近い暮らしが今も地球上に残っていることです。
それは、ある意味で「文明のタイムカプセル」のようでもあります。
(おしまい)





