ケンイチは、資格をいくつか取得したので、ホテルの管理業務に就きました。
しかし、そこで先輩から聞いた言葉に唖然とする。
『資格があるだけの人間は幾らでもいるけれど、機械が直せるとかできなければ、はっきり言って役にはたたない』
なんとも厳しいひと言ですが、じきにケンイチにもその意味が分かってきます。
『ーホテルの裏方、地下の機械室にある設備は、まるで意思を持っているかのように、いちばん忙しい繁忙期を狙ってよく故障するのです。ー』
そして、その度に業者を呼ぶと安くない費用がかかる。
出来ることなら従業員に分かる範囲の故障は直せるとホテルとしても非常に大助かりなのだ。
さて、ここではボイラーという一つのことでしたが、それだけに限った話ではありません。
コンピューターで仕事ができるより、そのosやプログラムの裏側のバグを直せる人。
バイクの免許と車体だけを利用する人より、出先でトラブルを起こしてもツールセットを取り出して原因を見つけられる人。
ケンイチにも趣味でナイフ投げや火の起こし方、ロープの結び方など、得意な分野がありました。
そういった技能はキャンプの時などに『あっ』という驚きや尊敬を集めます。
ペーパーという1枚の許可書より趣味で磨いたことの方が実際には役に立つことが多いものですね。
終わり
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