《前編》
素晴らしい料理が家族との絆や友人との楽しいひとときを織り成します。
中華料理『金木犀』
田中と歌川洋は静かな厨房にそっと足を踏み入れた。
中は真っ暗で、いくつかの表示灯だけが明かりを灯しています。
「照明はどこだ?」壁にスイッチがあった。
パチリ、
照明が点灯し、厨房が一瞬で明るくなった瞬間、無数のチャ〇ネがサッと潮が引くように姿を消しました。
「見た?」「見えた!」
(今のを見てしまったら、ここで楽しい食事はできないな…)
ここは中華料理店が集まる繁華街で、食事を楽しむ人々で賑わっています。
今日は、ゴキブリ駆除の依頼でこの中華料理店にやってきました。
「クライアントの話によると、何度駆除剤を使っても次から次へと増えるそうだ」
なぜ?その謎を解明するため、私たちは外に出ました。
「洋さん、外から見ると隣の店と繋がっていますね」
「天井と床下が完全に閉じていなければ、いくら駆除剤を撒いてもゴキブリは隣へ移動してしまいます」
「よし、大量に処理できたとしてもまた隣からやってくる、イタチごっこだな」
隣の店「金萬木」は営業中でした。田中が情報を集めてきました。
「金萬木」は麺類専門店のようです。
「洋さん、分かりました。」
「お互い兄弟店のようですが、店休日が別々なのでゴキブリ駆除を同時に行うことはないようですね」
「じゃあ、わざわざ労力をかけて駆除しても無駄だな!どうせ元に戻るんだから」
「しかし、何もしないで帰るわけにもいきませんし……」
「焦ることはないさ、お給金分くらいは動けばいいさ」
(本当に大雑把な人だなあ)
とりあえず、内部の調査を始めました。
洋は7段の脚立を立て、天井の開口から天井内を覗き込むと、
軽天井の上はダクトやケーブルで密林のようでした。
吊り天井なので骨材の作りが弱く、大人が入るのは難しい場所です。
洋「何か出てきそうなところだ、ここへ逃げ込まれたらお手上げだね」
田中「床下はどうでしょうか?」
入り口近くに床下の開口があり、覗いてみると排水管やガス管がありましたが、
比較的スペースは確保されています。
洋「これなら僕が入ることはできますよ」
「改めてお伝えしますが、
私たちの会社では加圧式噴霧器やULV噴霧器は使用しません。
成虫はできるだけ生きたまま回収します。
特に飲食店では薬剤を使わないのがベストです。」
洋「それで、回収できずに残ったゴキはどうするの?」
田中「ベイトガンを使い、ゴキの好む場所にピンポイントでジェル剤やパウダーダスターを施します。
隠れた場所にいる生き残ったゴキの処理には薬剤を使います。」
「そして、記録管理用のモニタリングトラップを設置し、定期的に数と種類をチェックします。」
「なるほど、ゴキブリ駆除というと、くん煙剤を焚いたり、スプレーを吹きかけたり、ホウ酸団子を設置すると思っていたが、なかなか考えられているのだなあ」
「田中くん、顔に似合わず頭がいいね」
「全然褒めてないでしょ」
とりあえず、2人で決めた計画を実行することにしました。
まず、当社特製のミントガスを天井内に噴霧します。
効果は一時的ですが、ゴキを不快にさせ寄せ付けない効果が期待できます。
噴霧が終わったら、店内と厨房内でゴキの嫌う音波を流します。
これは一般の業者では使用しないものですが、一時的にゴキブリを追い払うために用います。
(ただし、強すぎる音を出すと他の生き物にも影響が出るので注意が必要。)
その後、店内に隠れているゴキブリが地下に移動しようとするはずです。
そこを洋さんが回収します。
田中「洋さん、本当にそんな袋だけで回収できるんですか?」
洋「まぁ任せときなって!僕は虫の考えていることがわかるんだ!」
この人が言うと、あながち嘘には聞こえないのですが。
各場所の器具の設置が完了しました。
よしっ!ミッションスタート!
田中は天井内にミントを噴霧しました。
勢いよくガスが充満します。
人間にとっては心地よいアロマの香りが、ゴキブリにとってはストレスになる嫌なニオイだそうです。
それが済んだら、音波の準備です。
建物の戸締まりと、他に生き物がいないか注意して音波を流しました。
少し強めの音を発生させます。
「洋さん、中は完了しました!床下お願いします!」
洋は床下に潜り込みました。
そして精神を集中し、ある呪文を三回唱えます。すると……
目の前にホール(穴)が現れました…
地面ではなく空中にです。
どうしてこんなことができるのでしょうか?
長年の部落での生活の中で、一流の呪術師から伝授された秘伝です。
もちろん、誰でもできる技ではありません。
自らの暗示によってある種のトランス状態に入り、邪念を消し、ただゴキブリへの挑戦に集中します。
彼の生涯を通じて身につけた技と体力に加え、精霊の助けによって初めて成し得るものである。
ただし、注意が必要です。
誰にも知られてはいけませんし、もちろん見られてもいけません。
もしこれを誤ると、二度と術は使えなくなります。
洋「よし、うまくホールができたぞ!」

あとは計画通りにゴキが逃げてくるかだが……
ザワザワザワ………
来ました!
数で言うと数百匹のゴキが移動してきました。
ホールの引力によって無数のゴキブリが吸い込まれ始めました。
『チュウ、チュウ』
ゴキブリに合わせてネズミも飛び込もうとしましたが、パチンッと跳ね返されます。
そう、ホールのパワーは小さいため、吸い込めるのはゴキブリなどの小さな虫に限られています。
さて賢い読者なら気づいたと思われますが、出口はどこなのでしょうか?
これはある程度術者の念で決めることができるのです。
洋は袋の中に約100匹入れて、これだけ回収したことにしました……
[その頃白井邸では]
勇次の部屋には融資の件で3人ほどのお客さんが訪れているところでした。
「では、融資の件、どうぞよろしく」
「私もできる限りのことはさせて頂きますよ」
ポトリ ポトリ ガサ ガサ
なんだ!?
こ、これはゴキブリ!?
天井から落ちてくるもの、隣の部屋から入ってくるもの、数にして数百匹。
まさに恐怖映画さながらの状況です!
「ギャーッ、なんだこれは」
「助けてくれ、死にたくない!」
客たちは悲鳴を上げて逃げていきました。
勇次もゴキブリは苦手です。その数百匹はたまらない!
「清水!助けてくれー!」
[翌日、飲食店『まこ』]
今日は雪江が一番で朝の準備をしていました。
「まこさん、いつもなら来ている時間なのに今日は遅いわね」
その時、まこが店に着いたようです。
雪江
「まこさん、おはようございます。」
まこ
「お·は·よ·うぅ〜」非常に疲れたような声でした。
(まこさん、ずいぶん疲れているみたい、目の周りもクマができている。眠れなかったのかしら?)
《後編》
最近、洋は不思議に思うことがあります。
家庭のゴミ出しは僕がやっているのですが、(音に命令されてやっている)
彼女が全くゴミを出していないことです。
まとめられるゴミには、ほとんどが台所から出るゴミや私が使った不要な物しか入っていません。
「音はゴミを出さない人間なのだろうか?」
いや、そんなことはありえない!
必ず尻尾を捕まえてやる!
『そしてわたしには、音が何を捨てているか知る権利があるのだ!』
水曜の朝、時間は午前3時半、草木も眠る丑三つ時。
ガサゴソ……
(おっ!動き出したぞ)
ゴミ出し日の朝、動くのではないかと思って起きて待っていたが、予想通りでした。
『頑張って待った甲斐があった!』
彼女が家を出て再び戻ってくるのを確認しました。
ヨシ、戻ったようだな…
早速行ってみよう!もちろんあの場所に。
そう、当たり。ごみ収集所に。
まだ朝も早いので、ごみ収集所はほとんど空のはずですが、1つだけありました。
黒いビニール袋。
やった、あれこそ私の求めているものだ!
洋がそれを取りに行こうとした瞬間、予想しなかったことが起こりました!
なんと、知らない女性がそれを持ち出したのです!
前髪の長い女で、顔は見えません。
洋はスマホを持っていなかったので、特技の念写でその様子を記憶しました。
そしてこっそりと後をつけていきました。
野生の生活で身につけた気配を消す動きで、女には気づかれずについていきました。
女の行き先は近所の『こわれ荘』でした。
「ここに住んでいたのか…」
女が一階の一部屋に入り、ドアを閉めようとしたその時、俊敏な動きでドアノブを押さえました!
女は驚き、その瞬間必死で閉めようとしましたが、洋の力に比べて女の力は無力に等しかった。
「おっと!そうはイカの金玉」天網恢恢疎にして漏らさず、もう証拠の写真もあるのですよ。
女は洋を見て観念しました。「そうです、私はゴミを無許可で回収しました。」
「どこにでも突き出してください」
もう、おしまいだ。勝手にしてくれ。そんなニュアンスでした。
よく見ると、なかなか可愛い顔をしています。
洋「マアマア、魚心あれば水心というじゃないか」
「とりあえず、ここではなんですし中に入って話しませんか?」
「僕は歌川洋、歌川音の父親だ。あんたの名前は?」
「藤田ましろ、です。」
「音さんに父親がいたとは知りませんでした、許してください」
「実は以前から彼女に憧れていました!それで…こんなことをしてしまってたんです……」
「いつからしていたの?」
「え~と約1年くらい前から」
(いったい何が嬉しくてこんなことをするのか謎だ)
「そうか、君は市の回収前に無許可で回収した、これは盗んだのと同じなのだよ?」
「ただし不問にすることもできるのだが…」
「それはいったいどういうことでしょうか……」
「音のものは僕のものだ、まぁつまり、僕から買い取ったことにすればいいんだよ」
「勘違いしないでくれよ、これは取引でありビジネスである」
ましろ「あなたがそういうなら…父親への謝罪の気持ちも込めてお返しいたします」
こうして僕はましろから1年間のゴミ代金として10万円手にすることができました。
よし、最後に特別に、この袋を一緒に見ることを許可してやろう★
ましろ「ありがとうございます、これを最後に二度といたしません!」
洋は袋を開けて中を見ました。
「おおっこれは、使用済みの……」
ただのマジックペンシルでした。乾いて何も書けない、例のやつでした。
次に出てきたのは『詩集』と書かれたノートでした。
「これは期待できそうだぞ!」
ましろもワクワクしています。「音さんの詩集なんて初めて見ました!」
どれどれ、ノートは2,3ページ書かれたきりでした。
読んでみました。
『おじさん55歳、ボク16歳。おじさんと毎日5回◯る』
『おじさん大◯ラ、大◯ラ、大◯◯たま。ブラブラブラ』
『なめると塩辛くて、うまいうまいうまい』
『はやく◯めよ。もっと出して。』
『うまいうまいうまい、素敵だ!』
『おじさん大好きだよ、毎日5回◯るんだ』
『おじさん55歳、ボク16歳。おじさんと毎日5回◯る』
黙ってノートを閉じて袋の中へ入れました……
その後は“ましろ”も足を洗い、僕もお小遣いを手に入れて解決しました。
[翌週の水曜の朝]
実はその後どうなったかというと……
まだ僕は音が隠れてゴミを出す秘密を探っているのです。
父親として知らなければならないのです!
例のごとく音は、密かにゴミを出していました。
そして僕は、人目につかぬようサッと持ち帰りました。
自分の部屋で調べると、何か人形のようなものが入っていました。
どれどれ、と手に取った瞬間、チクリと鋭い痛みを感じました。
「痛いっ!なんだ、なんだ、これは?」
人形には無数の針が仕込まれていました……
実に凶悪な代物です。
次の瞬間、“リンゴン·リンゴン”玄関のベルが鳴ります!?
さすがの洋でも、この時は娘っ子のように胸騒ぎがしました。
恐る恐る玄関に出ると、警察官が立っていました。
「いったい何があったのでしょうか……」
警察官「実は音さんが毎週ゴミを持ち去られている気がすると連絡がありました。それで調べていたところ、本日こちらに持ち込まれた恐れがありまして、こうしてお伺いさせていただきました。」
「それはそれは、大変ご苦労さまなことです。」
「私は父親ですが、ここは当人の住まいですぞ、何かの間違いですね。」
「そうなんですが、ちゃんと設置しておいたカメラにあなたの姿が映っておりました」
かくして、歌川父は取り調べを受け、一応身内ということで厳重注意となり、音に身元を引き受けに来てもらい、なんとか事なきを得たのでした。
もちろんその後は音にえらい仕置きを受けたことは言うまでもありません。
10話 終わり