第2話
塵一つない、実に綺麗な状態です。
「どうして私より家事が得意なのかしら?」
以前私が床拭き窓拭きした時でも、いいからいいからと、
止められたこともある、人にさせると都合の悪い事でもあるのでしょうか。
ここは草加市〇〇町にある4LDKのマンション。
鈴木くんの妻、雪江、34歳。10月◯日、月曜日の朝。
彼女は水槽のメダカに餌を与える。
増やしたミジンコを入れると、メダカたちは「美味しい、嬉しい、元気いっぱい」と言わんばかりに泳ぎ回る。
それが彼女の小さな幸せであり、趣味でもあった。
結婚してから2年が経ちました。
埼玉の同じ大学出身ですが、
ほとんど接点がなかった私たち。
しかし、ある出来事で病院で出会った。
不思議なことに、この人とは気楽に会話ができたので。
それがきっかけで何度か付き合い、年齢的にも周囲の目を気にしていたため、
「結婚しようか」という話になりました。
世間体を保ちながら、特に問題もなく平穏な日々を送っている。
その頃、『ゴキブリエキスパート社』では
「足立区にあるゴキブリエキスパート社から車で約1時間の朝霧市郊外に、野田さんの家で大きなハチの巣が見つかったとの通報がありました。」
鈴木くんは道具を手に取り、ワゴンに乗り込んだ。
実際に蜂の巣が存在しても、それほど大きな問題ではない。
現地に到着すると、白髪のおばあちゃんが出迎えた。
「こちらです。」
軒下を覗いてみると、確かに大きな『キイロスズメバチ』の巣が目に入った。
しかし、これは…。
「おばあちゃん、この巣はもう使われていないものなんだ。」
「一度使われた巣に蜂が戻ることはありませんから、特に危険はありませんよ。」
「無理に取り除く必要もありません。」
「そうなのかい? 無理に取らなくていいのかい?」
「はい。生態系の一部ですから、傷つけなくて済むならそのほうがいいです」
おばあちゃんは納得した
「そうなのかい、あなたたちがそう言うなら。」
「そのままでもかまいませんよ。」
これが『ゴキブリエキスパート』鈴木くんの独自のスタイルである。
蜂の巣とその思考の流れ
[蜂の巣が見つかる] → [多くの蜂がいるに違いない] → [攻撃してくる、恐ろしい] → [すぐに撤去しなければ]
この思考の流れによって、ハチの巣回収業者は利益を上げています。しかし、これはかつて歌川さんから教わったことです。
『彼ら(蜂)も生態系の一部なのだから、殺さずに済むなら、そっとしておいてほしいんだよ。』
(あの人の言葉が好きで、それを胸に残しています)
鈴木くんは、先週の出来事を振り返る。
「歌川さんのアリンコ、かなり大きかったなぁ。」
その時、丸刈りのケンが報告にやってきた。
「隊長、川崎埠頭でヒアリが目撃されたとのことです!」
「なにいっ」
埠頭に着くと、鈴木は車の窓から何かの塊が空中を移動していくのを見た。
蜂が方向を揃えて飛ぶ分蜂(ぶんぽう)に近い動き。
だが、妙にまとまりすぎている。
それが不穏な空気を感じさせた。
その後我々はも港湾管理者の指示に従ってヒアリの進入経路を調査していたとき、ふと気づいた。
我々にとって好ましくない連中がいる。蜂の巣駆除を専門とする会社、アレルゲンの連中だ。
アレルゲンのタケシは鈴木くんに気づき、声をかけた。
「やあ、シロアリバスター。今日は何を捕まえるんだい?」アレルゲンのタケシはニヤリと笑いながら話しかけてきた。
「ゴキブリエキスパートだ。名前がかすりもしてないよ、僕たちは蟻の駆除に来たんだ。」と、鈴木くんは不機嫌そうに答えた。
「そうか、どちらでも構わないが、こちらの邪魔はしないでくれよ。」
(気に入らないな)お互いにそう思った。
タケシもまた、このエリアで別の蜂の巣駆除の依頼を受けていた。倉庫の隅には、大きなモンスズメバチの巣が鎮座していた。
「ヨシッ!」と自信満々に呟くタケシ。彼は、その巣がすでに空であると確信していた。
蜂がいてもいなくても、巣を回収すれば料金は発生する――それがこの仕事の仕組みだ。利益は、確実にそこから生まれる。
脚立を立て、慎重に巣へと手を伸ばす。だが次の瞬間、
「チクリ」――腕に鋭い痛みが走った。
「キャッ!」と女のような悲鳴を上げ、タケシはバランスを崩して脚立から転げ落ちた。
仲間が慌てて駆け寄り、すぐに救急車を呼ぶ。

幸いにも、命に関わるような怪我ではなかった。
ただ、タケシのプライドには、少し深めの傷が残ったようだった。
ケン「アレルゲンのタケシ、蜂に刺されて転落したみたいですね。」
鈴木くん「見かけだけの業者だ、一皮むけばあんなもんだろう。」
こうして、ゴキブリエキスパートの一日が幕を閉じる。
『矢波ラボラトリー』午後 4時30分
歌川の後輩・三滝は、書類を持ったまま首をかしげていた。
「この仕事って……誰の役に立っているんでしょうか?」
返事はない。
「くかー……」
歌川は椅子に座ったまま堂々と寝ていた。
三滝
(……博士号、本当に持ってるんだよな?)
彼は、フックやフィリッシュに憧れ、生物学を学ぶ決意を固め、懸命に勉強した。いつの日か大発見を成し遂げ、注目されることを夢見ている。
そんな三滝からすれば、
この場所は想像よりずっと“ゆるい”。
「本当にこの人が博士号を持っているなんて、信じられないな。」
そう言って、歌川さんから目を逸らしたとたん、三滝のお尻に鋭い痛みが走った!
「ギャッ!」
「痛いっ!」
お尻を押さえ、涙を流しながらチーフに駆け寄る。
「矢波チーフ、何かいます! お尻を刺されました!」
矢波チーフ
「フーム、見せてみなさい。」
彼のお尻を確認してみると、蟻の毒に似た症状を見つけた。
「蟻に刺されたみたいだね、大したことはないよ。」
(なんで研究所にアリがいるんだ!?)
三滝は絶望し、歌川は寝息を立て続ける。
静かな研究所で、またひとつ“不可解な出来事”が起こった。