光の粒と教室の謎

「退屈な授業中、私はいつも空想に浸っている。
ーー視界に、光の粒が降り注いでくる。
最初は粉雪のように細かく、時計の針のように正確な間隔で瞬いている。
光は自分自身のようでありながら、友達のようでもあり、また私の先生とも言えた。
私は、その光を見ているだけで、大きさも、形も、動きも、好きなものにできた。
だから、こんなことができる……」

ヨシノリの叫び

教室のどこかで、男子生徒の悲鳴が上がった。
ヨシノリ「痛テーーーツ!」
「てめー、何しやがる!」
そう言って、彼の後ろにいたタケシに掴みかかった。
「待ってくれ、僕は何もしてないよ!」
「とぼけるな、今お尻に針が刺さってめちゃくちゃ痛かったんだぞ。」
「きっと音のやつがやったんだ。あいつ、なんだか怪しいんだもん……」
「何を言ってやがる。音の席は離れているじゃないか!それに今も居眠り中だぜ。」
「こんなちんちくりんに何かできるはずはない。」
「やっぱり、すぐ後ろにいたお前が一番怪しいんだっ!」
タケシはゲンコツで打たれて泣いた。

セーラの観察

30人ほどいるこの教室の中で誰もそれに気づかなかったが、唯一の例外……
その様子を、窓際の席から見ていたセーラ。
彼女は小さくため息をついた。
(……また歌川音の仕業ね。)セーラは、白く光る粒がヨシノリの身体に入っていくのが見えた。
だから、タケシの仕業ではないと知っていたが、助けるつもりはなかった。
以前タケシからいじわるをされた覚えがあり、小気味よかったので。
むしろ誰にも言うつもりはない……

しかし、このチクチク事件はその後も続き、教室の謎として噂が広がった。
タケシは音が怪しいとにらんでいた。
「オレの知る限り、例の事件が起きる時、いつもあいつは近くにいるのだ!」

スズメバチの襲来

ある日、教室にスズメバチが入ってきた。女の子は悲鳴を上げて逃げた。
男子たちは慌てて、叩き落とそうとする者もいた。
音は言った。「大丈夫!この蜂さんはオスだから針はないよ。」
男子は驚いて、「どうして分かるんだ!」
「どうしてって言われても、彼らだって相手がオスかメスか分からなかったら困るのに……」
「そんなの人間に分かるわけがないじゃない!」
「自分の言ってること分かってるの?」
当然、皆が疑っていた。
「とにかく任せなさい。」音はそう言って蜂の近くに行き、そっと促して外に出してやった。
「短い命だけど、頑張って嫁さんを見つけるのよ。」
そう言って送り出した。
ヒソヒソ……
彼女の人間離れした感覚が皆の心に残った。

彼女の才能

音の蜂についての才能は、これに限らなかった。
ある時、古びた校舎の軒下にできていたボール状の蜂の巣。
先生でも詳しいことがわからず、生徒に近づかせないようにして撤去を計画していた時、
「先生!これはコガタスズメバチの巣ですが、もうすぐ冬が来ますし、そうなればこの巣は使われなくなります。」
「向こうから好んで襲ってくることはないので、できることならこのままそっとしておいてほしいです!」

『どうしてそんなことがわかるの?』ヒソヒソ。
『なんだか気味が悪いわ。』ヒソヒソ。

「分かってしまうから仕方がない」
音自身もそうとしか言えなかった。
いつもこんな時、光の粒が見えてきて……
それを見てるとなぜか全部分かってしまうから仕方がないんだけれど……

人気者の音

「そんな彼女の不思議な才能と、どこか人間離れした感性は、良くも悪くもクラスメートの間に噂となって広がっていった。
そんな彼女だが、一部の男子からは人気もあった。
タケシは「俺、歌川からちゅ~してもらったぜ!」
「彼女、俺に気があるんだよ。」
カツヤが反論した。「嘘だ、なんでお前なんかにするもんか!」
「自分の顔を鏡で見たことあんのか?」
タケシは言い返した。「嘘じゃない、ホントさ!こないだミツバチに刺された時にちゅ~してくれたんだ!」
サダオが聞いた。「僕、聞いたことがあるんだけど、彼女は蜂に刺されたところにチューするんだってさ。」
カツヤ「なんでそんなことするんだよ?」
サダオ「さあ?僕が知るわけないよ。」
タケシは驚いた。「俺に気があるわけじゃないのか!?」
ざわざわ……
ーータケシは『ちゅ~してもらったと自慢したがるが、その真相は、命がけでハチに刺されに行く猛者が現れるほど、奇妙で、掴みどころのないものだったーー

「あら!またやってしまったかも!」
本人も、そんな奇妙な知識や行動に特に意味はなかった。
「バカじゃないの?」などと言われることもあったが、
でも何だか良いことだという事だけは自信があって、
「まあ、いいか……」と呟いた。

 

プロローグ 終わり


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