[壁の傷:ⅰⅱⅲⅳⅴⅵⅶ ⅷ ⅸⅹⅺⅻⅰⅱⅲⅳⅴⅵ ⅶ ⅷ ⅸⅹⅺⅻ ⅰ ⅱ ⅲ ⅳⅵⅴⅵ ⅶ ⅷ ⅸⅹ]

 

ハァッハァッ、ゼイゼイ…… 「誰……?」 最近、スマホから耳を塞ぎたくなるような奇妙なノイズが響いている。マリンのデビュー当時からの熱心な「一味」であるタケシくんも、そして大ファンのケイちゃんも、その得体の知れない異音に怯えていた。 バタッ。 「ケイちゃん、どうしたの!?」

 

  • ホロライブ事務所の会議室 『そろそろ、彼女も頃合いのようね』 『世代交代の時期かね……?』 幹部たちの冷徹な声が響く中、バーンッ!と扉が開いた。死神でも見たかのように顔を青ざめさせた男性スタッフが入ってきた。 『……彼女が来ました』 

ヒュー……ヒュー……。 会議室の温度が一瞬で氷点下へと叩き落とされるような、恐ろしい気配。『ゾォ』と一同の体がぞくぞくする。 そこに現れた彼女(マリン)の動作も歩き方も、まるで糸の切れた「操り人形」のようだった。感情の完全に消え失せた虚ろな瞳で一同を鋭く睨みつけると、そのまま何も語らずに去っていく。

 

* [その頃、ふしぎのぼろアパートでは] 『まだその人形、持っているのか?』ミュラが眉をひそめる。 『だって……』マミは人形を見つめたまま、虚ろに呟いた。 「そろそろ、行かなきゃ……」 「今日はアタイ、動かないよ」ゴロンっとミュラが寝転がる。 立ち上がったマミ。だが、次の瞬間、彼女の足元(存在そのもの)が空間から不自然に削り取られるように消失した。 バタン!と、上半身から床に崩れ落ちる。 『おい、マミ!? どうしたんだ!』

 

* [ましろとガス] ウゥー……。 「ガス、何か分かったのか?」 ましろが問いかけた瞬間、うっ!?と胸を突くような悪寒が走る。彼の鋭い本能が、明確に『引き返せ』と警告を発していた。懐の四郎も硬直している。 だが、ましろは言った。「ガス! 案内しろ!」 ワン!「これは……」 次の瞬間、世界がぐるりと反転した。ガスは恐怖で動けない。

ボクはガクガクと震える、(どうして……ここに来てしまったんだ)

激しい目眩が襲う。 

その先で――。

 

んんー、あれ……良い匂いだ。

ガスはいない…。

 パカパカと軽やかな蹄の音が響く。馬に乗っているのは……優雅な女主人だろうか? だが、そこにある空気は、あきらかに彼らの知る現実とは異なっていた。 

綺麗な花だ……

乗っている人が、倒れているましろを見下ろす。 『大丈夫ですか?』 ましろは薄れる意識の中で呟いた。『あんた……』 『そんなところで倒れているのもなんですし、中で休んでくださいませな』

 

* ……………… 静寂に包まれたシズコの屋敷。 「ううーん……」 Hiroshi はおもむろに引き出しを開け、白い錠剤を口に放り込んで飲み込んだ。 『あなた、ひどくお疲れなのでは……』 シズコは、その横顔に潜む深い陰りを察し、自身も青ざめた表情を浮かべる。 『いや、なに……つい、思い出してしまってね』 家族の絆の裏にある、消えない心の傷跡。多くを語らずとも、それで十分だった。

 

遥か高みにいた、【ただ一つの観測者だけが】静かに目を閉じた。

 

✦秘密を守ること、あと2ヶ月。 【30話 完】

次回新章スタート

 


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