第26話:飽食のパピルス

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世界のバグ、あるいはマンデラ効果

「最近、ましろの奴、見かけないな」 海辺の荒れ地で、カード仲間の少年たちが潮風に吹かれながら会話を交わしていた。 「……ホロライブの『宝鐘マリン』って知ってるか? ゾクゾクするんだ」 「ああ、知ってる。でも、何か引っかかるんだ。以前はもっと、」 「お前もか! 最近ネットでも噂になってるな」 「マリン本人は笑って言ってたぜ、『それはマンデラ効果』なんだって!」 「そうなの? ……ところで、お前のスマホ、熱くない? 画面から熱い光が出てる気がするんだけど」 「ああ、熱いときあるね。オレ、これで弁当温めてるんだ!」 少年たちは笑い合った。

夏の終わりを告げる頃、石室に一通の手紙が届いた。『マリンを返して』 (なんだこれは? アタシへの手紙、そしてアタシはここにいる……わけがわからない) 差出人の名はなかった。 「いたずらだ。こんなものは無視して、本日のトレーニングをこなさなきゃ」 手紙は女の息により灰に変わった。

チビの挑戦

「アレッ、女の子だ!」 石室の入口に小さな影が立っていた。 「何してるの? ん、さっきより暑くないね」 」 『魔神のオネエチャンに渡してくれって、ある人から頼まれたのよ……』 女の子はそう言って一通の手紙を差し出した。 「えっ、ホントなの?」手紙を受け取るマリン。 「ねえ、こんなところに一人で来たら危ないよ」 マリンの目が縦に光る。小さな女の子は一瞬虚空を注視したように見えたが、すぐに駆け出して転んでしまった。

指定の日時。郊外とはいえ東京の下町。 「手紙に指定されてたのは、この辺りのはずだが……」 『マリン様のために、当館最高の技術でお菓子をお作りしてお待ちしております。ご都合のよい日にちが決まりましたらお越しくださいませ。ホホホ』 マリンは目の前の光景に絶句した。 「本当にここなのん!? 東京砂漠に驚きの住まい」 屋敷の男が言った。「ついに来たか。しかし、ここまでが定跡だ」 時間は正午を過ぎ、屋敷の庭には珍しく美しい花々が咲き誇り、甘い香りを放っていた。

風化した石

その頃、ミュラは田舎町をさまよっていた。 「このあたりのはずなんだがな……」 ポケットの写真を頼りに探し当てた場所。しかし、そこにはいつ頃のものかもわからないほど風化した石が転がっているだけだった。

ガスが一声唸る。背中にピタッ! 「ひええっ」 「ゲコゲコ」。ミュラは周りに誰もいないことを確認して目を拭った。ガスは前足で地面をトントンと叩く。 「何? ……何もない」 いや、入口だ。こんなところに。ギイ。 「開いているぞ。」『……仇の魔神はいないはずよ』 今朝S.Mから届いたメッセージをミュラは自分に言い聞かせるように呟いた。 「私は別に怖くなんかないんだ。なあオイ」 犬は答えなかった。カツーンカツーン、足音が不気味に響く。

シズコ流おもてなし・ナンバー52

「ようこそいらっしゃいました。当館のシズコですわ」その人はマリンが入口にいるうちに走り出てきた。清楚で無駄のない動き。黒い服を着た女性は美人と言っていい。「大きなお屋敷ですね」とマリンが話しかける。 「祖父の代で建てたものなのです」 館内には古い、誰が描いたものかマリンにはわからないが高価そうな絵が並んでいた。テーブルに着くように促されると、銀の食器が並んでいた。 「シズコさんのお仕事って何ですか?」 「父の会社を継いでおりますのよ」 「Mとかいう方たちも従業員ですか」 シズコが一瞬、小さく見えた。 「ご存知でしたのね。かつてうちでは、ちょっとした呼び屋もやってましたので、そんな人達も確かにいましたわ」 「呼び屋? 単刀直入に聞いて何ですが、アタイのこと知りたいの?」 「ええ、あなたのこと知りたいわ。でももっと面白い遊びもしたいのです」 「楽しませてくれるの? お菓子は……」 「もちろんよ。最高の素材、超一流の技術でご用意いたします。そしてお菓子が、今回のあなたへの挑戦なの。いかがかしら?」 「マリンが逃げるなんて船長の沽券に関わっちゃう。受けて立ちましょう!」 「ホホホ、それでこそマリン船長だわ」 (見ているかしら、あなたへの挑戦でもあるよ) 一人厨房に入ったシズコは懐から羊皮紙(パピルス)を取り出し、壁に貼り付けた。羊皮紙は燦然と輝き出す。 シズコの動きは超人的で、焼き菓子、生菓子、和菓子が芸術的に仕上がった。

『さて、ただ普通に食べてもつまらないじゃない? そこで『シズコ流おもてなし』ナンバー52はいかがかしら?』

「どういうこと?」

『ルールは至ってシンプル。決められた通りの順番に食べないとならないの。』

「間違って食べたら?」 「ねえ、間違って食べたら?」

『そう、間違ったら少しだけ痛い思いをするかもしれなくてよ。』(ちょっとずっとね……)

「順番はどうやって決めるのさ」 「それをお伝えするわ、これを見て。♥のエース『ジュレ』、♠のエース『黒糖マン』……この対応表通りに、決められた順番に食べていただきます。」

「書き留めるのは禁止よ」
「頭だけで覚えてね」
「……できるでしょ?」 

『いいわよ、覚えてあげる!』

マリンは15分間、考えるポーズをしたり、逆さになったりと懸命だった。

『イッツOK』勝たせてもらうわよ!

(この自信は何なのかしら?)

ゲームがスタートした。 1つ目『桜餅』、うっうまい。鮮烈な香り。2つ目『カヌレ』、まろやか。

全然順番通りではなかった。

そしてついに52枚目の『ピサンゴレン』を召し上がった瞬間、壁にかけられていた羊皮紙が緑色に輝き出す。シズコは「うっ」と唸って倒れた。

使いの者が来た。手土産を持たされたマリンは館を後にする。なんだか、来た時よりも益々絶好調になった。 チセイは上空から難しい顔をして呟いた。 「未知の反応を呼んだか……」

男「シズコ、大丈夫か? よくやった。やっぱりシズコのコーヒーが一番うまいな」 シズコの顔の肌に色が差したように見えた。

荒れ地の果てに

少年たち「おい、あれ見ろよ」「ハハハ、大丈夫かよ」 少年たちが指差す先。マミが心配になって駆けつけたとき、ミュラは荒れ地の風化した石の上にいた。

ガスは横で寝そべっていた。

「……何してるの?」 「何って、見てわからないか! お風呂に入ってるんだよ。」

26話 終わり

  • 現在のレベル:加重 80kg 到達(max)/持続時間 15分到達(max) 完了まで後6カ月間、修行の継続と知られないことを維持する。

【ある言い伝えの童話】

どこかの田舎町にある「お菓子のシズコさん」は、シズコが営むかもしれないお菓子屋です。彼女は朝早くから新鮮な材料を集め、汗をかきながら生地を焼き上げます。器用に生地を丸めて成形し、焼きあがると香ばしい香りが町に広がります。焼きたての菓子を求めて多くの旅人が訪れ、幸せで調子の良いひとときを楽しみました。


 


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