1. 永遠を彷徨う意志

「……お前たち、まだ生きているのか?」

透き通る泉のように若々しいが、数千年の煤がこびりついた声が響く。声の主は大魔術師『チセイ』。彼は不老不死の魔力に魂を飲み込まれ、血肉を失い、意志と記憶の塊として果てしない時間を彷徨っている。

彼が肉体を持っていた時代に残した一枚のパピルス。その中には、人間を超えた力と、時を超えて輝き続ける美を手に入れるための、過酷な「手順」が記されていた。

「誰にでも使えるものではない。普通の精神では、この重圧に崩れ去るだろう。さて、誰が私の『甘い罠』に飛び込んでくるのか、それを見届けることが今の私の退屈を和らげてくれる。」

  1. 強欲な略奪者

そのパピルスは、何世紀も修道院の奥深くで眠っていたが、海賊船長が壁を破り、宝を略奪することで運命が動き出す。

宝鐘マリン。

自称17歳のアイドルは、豪快に笑いながらも、並外れた「美しくなりたい」という強い欲望に取り憑かれた存在だった。

マリンは手に入れたパピルスを乱暴に広げ、並んでいる文字を目にして驚き、動きが止まった。

「な、何これ、『重力柔軟トレーニング』!? 終わりのない弾幕で無理ゲーじゃないか! ふざけすぎだろ、チセイだか何だか知らないけど!」

普段は運動不足を気にし、甘いものを楽しむ女の子が、パピルスを手にした瞬間から彼女の人生が変わり始める。

  1. 人間卒業の掟

そこに書かれていた条件は、常識を超えていた。

> 《パピルスの掟:人間卒業への道》

> 極限の負荷: 両足首に合計20kgの重りを付け、その状態で「倒立開脚」を維持しなければならない。

> 三年の監獄: 週に4回、最低でも3年間、休まずにこの修行を完遂すること。1年目は5分、2年目は10分、3年目は15分と負荷が増加する。

> 絶対の孤独: 三年間、この修行を誰にも見られてはならず、もし露見すれば、これまでの努力は全て無に帰すことになる

マリンは顔を青ざめさせて叫んだ。

「三年間も誰にも見られちゃいけないの!? 配信中に『最近痩せた?』と聞かれても、『照明のせいです〜』とごまかさなきゃならないの? ……ああ、辛い! 体の痛みよりも、この『秘密を墓場まで持っていく』という精神的な束縛が一番つらいかもしれない!」

彼女の計り知れない執念は、恐怖を容易に超えていった。

「誰も持っていない、絶対的な肉体……。やるよ、私!どうせなら、誰も見たことのない究極の自分になってみせる!」

  1. スタートの日

マリンは海岸にある小さな窓のある石造りの建物を手に入れ、その場所は外の光や音を遮る「絶対の孤独」を体験する特訓場となっている。

「まずは、足首に10キロずつの鉄球をつけて……自力で壁を使って倒立……あぎゃっ! 痛たたたたっ! 床の上なのに、全く開脚できないじゃない! 足首の関節が引きちぎれそうだ!」

無機質な石で構成された部屋に、マリンの悲鳴と途切れ途切れの息遣いが響き渡っている。

20キロの鉄球が重力で彼女を床に叩きつけようとする中、数秒間の倒立は永遠のように感じられる。

汗と鉄の香り、内面の美への渇望が漂う。

一人のアイドルが、誰にも気づかれずに「人間」を超越し始める。

  • 現在のレベル:特訓場(隠れ家)を確保

 

【第一話 終わり】


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