カテゴリー【記憶のkso】

30日目 「覚えていないのに脳が疲れる理由」〜動画・SNSが静かに奪う“主導権”〜

覚えていないのに、なぜ脳は疲れるのか

動画やSNSをたくさん見たあと、 「何を見たかは思い出せないのに、妙に疲れている」 そんな感覚を持ったことはないでしょうか。

これは怠けでも、集中力の低下でもありません。 脳の仕組み上、きわめて自然な現象です。

登場人物

  • ショコ:動画ばかり見ている人
  • ミュラ:ショコを指摘する友達
  • チャム:面倒見がよく尊敬されている優等生

〖会話〗

ミュラ
動画を見ていると脳が疲れると聞いたよ。

ショコ
それは、頭を使うコンテンツだからなんだ。僕にとって、動画やSNSは勉強と頭の刺激になっているよ。最近は倍速モードにも慣れてきたしね。

ミュラ
じゃあ、昨日覚えたことを教えてよ。

彼女の話には統一感がなく、右寄りの意見が多かった。

ミュラ
それだけなの?

ショコ
もっと知っているよ、すぐに言葉に出てこないだけなんだ。

[解説 1 ]

動画やSNSを見ている間、脳は常に次の作業をしています。

  • これは重要か?不要か?という判断
  • 音・映像・文字の統合処理
  • 感情反応(驚き・不快・共感)
  • 次を見るかやめるかの選択

結果として、

  • 記憶に残るのは20%以下
  • しかし処理コストはほぼ100%

という、非常に効率の悪い状態が生まれます。


チャムが2人に語りかけました
誰も言わないようなので、教えておきますね。
残念ながら、動画やSNSは脳をとても疲れさせるだけで、あまり効果的ではない方法なのです。
例えるなら、ゴミかどうかわからないものを一日中仕分けさせられている状態です。
しかも、捨てた成果は何も残らず、ただ疲労だけが蓄積されるというわけです。

[解説 2 ]

情報の主導権が、脳の外にある

動画やSNSでは、

  • テーマは勝手に切り替わる
  • 感情の振れ幅が大きい
  • 終わりが見えない

脳は常に「次に来るもの」に備え続けます。

これは、 軽い判断を何百回も強いられる状態

疲れないほうが不自然なのです。


ショコ
でも、動画やSNSって、情報も速く幅広い知識が得られるんじゃないの?

チャム
「それは多くの人が勘違いしているところなのよ。
どこへ行くかわからない車に乗せられるより、自分で操作している車の方が安心でしょう?
自分で決めた時間に読書や勉強をするほうが一番疲れにくくて、効率がいいということ」

[解説 3 ]

読書・思索・創作など、 自分で考えているとき、脳では次のことが起きています。

  • 情報の入口を自分で絞っている
  • 目的が明確
  • 情報同士が結びつき、構造化される

脳は「処理」ではなく 構築モードに入ります。

構築はエネルギーを使いますが、

  • 理解
  • 納得
  • 発見

という報酬がある。

だから疲労が 「消耗」ではなく「使用感」になります。


ショコ
でもコメント欄とかで意見を言ったり、人のコメントに反応したりするのは「能動的」じゃないの?

チャムの言葉

「それが最大の罠になっているのよ。」

コメントを投稿したり、反応を読むことに伴う恐れは、
「理解した」という錯覚を生むことです。

しかし、動画という大きな流れの中では、
本質的な知識の定着や目標達成には寄与しない――
それは単なる「脇道」に過ぎません。

むしろ、他人の意見に感情が揺さぶられ、
脳はさらに無駄に疲弊していく原因となります。

だからこそ、私は動画は一切視聴せず、
SNSも必要最低限に留めています。
それでも何の問題もなく、
日記を書くことで毎日がとても充実していますわ。


ショコとミュラ
チャムさんが言うのだから、僕たちも見習ってみようかな。

ショコさんはその後、動画やSNSを控えたことで、代わりに趣味や読書が充実するようになったそうです。

おしまい


倍速視聴の「本当の危険」

ここからは、動画の倍速がなぜ危険なのか?に入ります。
関心のある方は見て行ってください。

🔹 危険①:理解した“錯覚”が起きる

倍速でも脳は追いつけます。
しかし追いついているのは「音」だけ。

  • 意味の咀嚼
  • 他の知識との接続
  • 自分なりの解釈

これらが丸ごと省略されます。

👉
「分かった気がする」が増え、
「説明できること」が増えない。


🔹 危険②:脳が“常に急がされる状態”を学習する

倍速に慣れると、脳はこう誤学習します。

ゆっくり=退屈
間がある=無駄

結果、

  • 本が読めない
  • 人の話が長く感じる
  • 考える前に結論を欲しがる

思考の耐久力が落ちていきます。


🔹 危険③:「速さ=賢さ」という勘違い

本当に賢い人ほど、

  • ゆっくり
  • 何度も止まり
  • 同じところを考える

倍速は、
理解の速度ではなく、消費の速度を上げるだけ。
お寿司屋に行って味わわずに、半分の時間で詰め込んで帰るようなもの。


🔹 決定的な一言

倍速で得られるのは「時間」ではなく、
「理解したという錯覚」である。


最終章

【ここからの指摘は危険なので注意してお進みください】

ここから先は、
誰かを傷つけるための話ではありません。
ですが、読む人によっては「自分の居場所」を揺さぶられるかもしれません。

それでも進む方だけ、お読みください。


動画依存にはコメントといいね!がセットになっている

SNSや動画のコメント欄に書き込むと、
たとえ一言でも「参加している感覚」が得られます。

・誰かに見られている
・誰かと同じ場にいる
・自分は一人ではない

これはとても自然な感情です。
人間は社会的な生き物ですから。

日記やメモは違います。
誰にも見られず、反応も返ってきません。
完全に「自分と向き合う行為」です。

この差は、想像以上に大きい。


コメントは「思考」ではなく「接続」

コメントを書く行為は、
深く考えることよりも つながること が目的になりやすい。

・共感されたい
・ズレていないか確認したい
・孤立していないと感じたい

だからコメントは気持ちよく、
だからこそ何度も書きたくなります。

でもここで、ひとつだけ厳しい事実があります。


孤独に耐えられないと、思考は深まらない

深い思考は、ほとんど例外なく
孤独な時間の中でしか生まれません

誰にも評価されず
誰にも肯定されず
誰にも見られていない状態

この状況に耐えられる人ほど、

・考えが長く続き
・自分の言葉を持ち
・流行や空気に振り回されにくい

という傾向があります。

逆に言えば、
常につながっていないと不安な人ほど、
思考は浅く、断片的になりやすい。

これは性格の善し悪しではありません。
環境と慣れの問題です。


本当に怖いのは、孤独ではない

本当に怖いのは、

・一人でいる時間をすべて埋めてしまうこと
・沈黙に耐えられなくなること
・自分の考えを持たなくなること

コメント欄は、
孤独を和らげてくれます。

でも、
孤独からしか生まれないものもある

それを知らないまま大人になると、
一生「誰かの言葉」で考えることになります。


最後に

もし今、

・動画やSNSがやめられない
・一人の時間が落ち着かない
・何かしていないと不安

そう感じたなら、
それはあなたが弱いからではありません。

ただ、
「考える時間」が足りていないだけです。

静かな時間は、
退屈ではなく、
思考が育つ場所です。

29日目 音ちゃんの『絶対に明日からやるんだもん!』宣言

適当なのに勉強はパーフェクトだった父親の洋と、
生意気で憎たらしい盛の娘(音)と母のアッキを通じて。

今回は、新しい習慣を始める際の心理に迫ります。


第一部

音ちゃんは日ペンの稽古を始める決意をしました。
(音は字が汚い、絵も謎レベル)
教材も購入し、いつでも始められる状態なのに、自分の好きな虫の観察に夢中で放置しています。

それを見たママのアッキ(亜希)は言いました。

「日ペンの練習を始めるんじゃなかったの?」

音はこう返します。

「絶対に明日からやるんだもん!」

アッキ「そんなこと言っていたら!先延ばしになっちゃうじゃないの?」

その時、洋(父親)が口を出しました。

「明日やるというのは、単なる先延ばしではなく、自己防衛本能なのだよ。」

えっ、それは本当なの?

「専門的に言うと、人は自分を有能な存在でいたいと願っている。
心理学では自己価値維持、つまり self-worth protection というんだ。」


洋の解説 1

行動を始めたら…

  • 出来なかった
  • 続かなかった
  • 自分の弱さが見えてしまった

などの結果が残酷に見せつけられてしまうだろう、そうなると
『自分は凹んでしまうかもしれない……。』
と意識する。

そのため、脳は無意識に判断します。

  • 「やらなければ失敗はしない」
  • 「明日やることにすれば一時的に安全策」

これが心の保険の正体です(しかも保険料は不要)。

洋は続けます。

「つまり、先延ばしは怠けではなく、自分という評価対象を守ろうとする高度な自己防衛でもあるのだよ。」

音「そうだよ、えっへん!」

洋の解説 2

又は、先延ばしを支えるのは「期待価値理論」です。

行動経済学では、人は行動する前に無意識に「期待値の計算」を行うと言われています。

行動の期待値は次のように計算されます:

得られる報酬(スキル)× 成功確率(約40%)− 失敗時の損失(かかった時間や努力が無駄になる)= 期待できる最終的な価値(始めないほうが良いかもしれないという予感)

この式において、先延ばしする人の脳は、
成功確率を低く見積もり、失敗の損失を過大評価し、今動くことの価値を低く判断します。
このため、「今はやめておこう」が合理的に感じられますが、実際には非合理なのです。

心の中では密かに計算が行われ、その結果「明日やることが正しい判断だ」と思ってしまいます。

ニヤリと笑う父親。

「アタシはそんなことないんだもんっ!」

洋の解説 3

実は未来への幻想も大きな要因です。

心理学では「時間的不一致」という概念があります。
人は未来の自分が今の自分より優秀だと信じているのです。

あなたは否定できますか?

明日の自分なら集中できる
明日の自分ならやっている
明日の自分は心構えが違うはず

これらは幻想に過ぎません。脳にとっては強力で魅力的な逃避方法です。

したがって、「明日の自分なら失敗しないし、安心だ」という未来への丸投げが心の保険として契約されているのです。

「もちろん明日のアタシは今日よりも勝っている!」

洋の解説 4

神経科学的に言うと、先延ばしは扁桃体の恐怖や不安感と、前頭新皮質(意思決定や長期的判断)の間で起こる綱引きによって生じます。

扁桃体が「失敗したらどうしよう」と考えると、前頭新皮質はその不安を和らげるために
「今日はやめよう。明日で十分」
と判断してしまいます。この脳の強い働きに逆らうことは元々難しいのです。

「それでもアタシは絶対に明日やるんだもん!」

第一部まとめ


第二部

音は父親に言いました。

「それでも、ちゃんと宣言通りに明日から始めたら問題ないやんか!」

洋は言います。
「そこで大切なことを見落としているよ!実は今日か明日は同じ一回でも、価値が違う。どっちにするかで成長の差が明確に違うんだよ。」

音「なんでなの、何で違うの?」

「行動の価値は単体の回数ではなく、連続性で決まる。」

洋の解説 1

脳は行動が連続したときに初めて神経回路を強化します。
これはヘッブの法則(Hebbian learning)と呼ばれる有名な原理で、
「いっしょに働く細胞は繋がりやすくなる」と言われています。

つまり、今日やった行動と明日やる行動が連続した瞬間に脳は学習を加速させるのです。
今日何もしなかったら、明日の一回目は孤立した行動になります。


洋の解説 2

だから、明日一回目をやるよりも明日二回目をやる方が圧倒的に伸びるというわけです。
脳科学では、二回目の行動の方が神経結合の強化が大きいことが知られています。
簡単に言うと、昨日の活動の痕跡がまだ脳内に残っているので、神経がプライミング状態に入っているのです。

したがって、

今日やる → 明日の二回目がブーストされた学習になる
今日やらない → 明日やるのはゼロからの立ち上げになる

数字上では一回ですが、脳の内部では別物になります。

「明日やって翌日もやれば結局は同じじゃないの?」

洋の解説 3

では、今日を逃すとどうなるか説明しましょう。

  • 神経回路の成長率が落ちる
  • 明日のパフォーマンスが落ちる
  • さらに翌日もやる気が出にくくなる

という連鎖的な低下が起こります。結果として、単に一回分失っただけではなく、成長率そのものを低下させるという大きな損失になるのです。


アッキ「ちょっと音には難しすぎるんじゃないかしら?」

(ムムム、なんだかよく分からないけれど、分かったことにしよう)

「生意気な盛りには難しい話をして凹ますのが僕の楽しみなのさ。」

今回のまとめ

「明日からやろう」これは誰もが経験しているのではないでしょうか?

時間がないですか?

では、1分だけ、開くだけでいいのでやってみてください。
これだけで今日がロケットの発射になるのです。

ですが、やっぱりやらなかったら?

その明日は、今日の一回を失っている明日になるのです。

おしまい。

28日目『英語?カタカナ語?』すぐに理解できない本当の理由

タケシの話① 〜宅配便編〜

こないだタケシは宅配便の人に、
「支払いはキャッシュレスできますか?」
って聞いたんです。

すると相手はまさかの、
「キャッシュレスって何ですか?」

タケシ「え、あ…えっと…現金以外ですよ。カードとか」
説明したらようやく通じて、
「使えません」
と返ってきたそうです。

タケシは思った。
(キャッシュレス知らないとか…ちょっと笑えるな)
と。

で、この出来事をSNSに投稿したり、仲間内で語って盛り上がってたんですね。


タケシの話② 〜免許更新センター編〜

数日後。

タケシは免許更新へ。
流れ作業で案内され、支払コーナーへ到着。

エネキーで払うつもり

EneKeyは持ってるな、
タケシはポケットの中を確認してつぶやきました。

そう思っていたら、案内の女性がだしぬけに、
「キャッスレスですか?」
と聞いてきた。

タケシ「……えっ?」
脳内、突然のフリーズ。

キャッシュレス=現金以外
そんな単純な式が出てこない。
ついこの間あれだけ偉そうに語っていたのに。

数秒後、ようやく回路がつながり、
「あ、キャッシュレスです…です」
と答えるタケシ

その瞬間ふと思った。

お土産屋さんの
「現金のみでお願いします」
って、なんて日本人に優しい表現なんだろう…と。


【解説】

言葉というのは、
「知っている」だけでは使いこなせません。

脳はまず“音としての言葉”を受け取り、
そのあとで“意味の回路”につなげることで
ようやく理解にたどり着きます。

ところが、この意味回路は
普段どれだけ使っているかで太さが変わる。

つまり、
何度も聞かされている言葉は
反射のようにスッと理解できる一方、
知っているはずなのに、
めったに使わない言葉は回路が細くなり、
つながるまでにワンテンポ遅れる。

今回のタケシくんは、
「キャッスレスですか?」と聞かれる→キャッシュレスは現金以外→僕の持っているのはEneKey→つまり、現金ではない→だからキャッシュレスである。

理解できるまでこのような思考の流れがありました。


まさに“知っているけど理解が遅れる言葉”の典型例ですね。

そしてここで大事なのが——
言葉の理解を早くしたいなら、
記憶と同じで「繰り返し」と「予測」が鍵になる。

ということ。

『つまり、何度も聞かされている言葉は反射でわかるようになる。
知ってても使わなくなった言葉は回路に繋がりにくい、よって理解が遅れる。
言葉の理解を早くするには繰り返しと予測が重要だったんです!』

#日常の気づき #今日の小話 #言語の不思議

27日目『本当は怖い!意識が今から離れるDMM』現実に帰る方法

矢波研究所は、5人ほどの小さな蜂の研究所です。
チーフは知識に満ちた人物ですが、研究の合間に本気で蜂と会話を試みるため、音たちにとっては「お父さんのようで、時折とても変わった人」でもあります。

[矢波研究所]

最近、継続と習慣の重要性を音から教わったミエちゃん。
しかし、最近彼女はソワソワしており、気持ちが落ち着かない様子です。

音が尋ねました。
「どうしたの?ミエちゃん」

ミエちゃんはこう答えました。
「実は、カードの支払いが溜まっていたんだけど、今月パパからのお小遣いでお金が入る予定なの。でも、やっと終わるかと思うと、つい先のことばかり考えちゃって。」

「それは良かったわね。コートやカバンなど、衝動買いしてたもんね。」

その指摘は痛いけれど、不安がなくなったら「こうしよう、ああしよう」と夢が膨らむのです。

その様子を見たチーフが言いました。
「今日やるべきことはできていますか?」

少ししょんぼりしたミエちゃんが答えました。
「実はあまり出来てないんです。」

チーフは続けて言いました。
「昨日までちゃんとできていたのに、手を抜いてしまっているのですね。」

ミエちゃんは言いました。
「実はあまりできないんです。でも、なぜでしょうか?やらなければと思うのに。」

チーフの解説:
「人間の脳は安全のために過去の失敗や未来のリスクを予測するようにできています。したがって、心は初期設定にもどるのです。
自分を責める必要はありません。

しかし、習慣や継続には適切な意志力も必要です。心が過去や未来に滞在すると、意志力が削がれ、当然今日やるべきことが後回しになります。」

ミエちゃんが尋ねました。
「後悔や不安だけでなく、期待やワクワク感でもですか?」

チーフ
「良いことを考えていても、同じように意志力は減少します。むしろ、未来の理想に固執すると、今の地味な作業が退屈に感じるのです。」

ミエちゃんは驚きました。
「そうだったんだ!」

チーフ
「心が過去や未来にいる時に活動する回路があります。脳科学ではデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれています。」

音が言いました。
「それ、最近聞いたことがあります!」

チーフ
「DMNが強く働くと、

  • 集中力
  • コツコツした継続
  • 今ここにある時間の感覚
    これらが弱くなります。特に未来のことを考えすぎる時は、DMNが強く働くと言われています。」

ミエちゃんは決意しました。
「考えすぎないようにしなきゃ!」


「デフォルトモードネットワークって『ぼーっと』している状態のことだとテレビで聞いたんですけど?」

チーフ
「それもまたデフォルトモードネットワークの状態です。しかし、DMNはただぼーっとしている時間だけではありません。『何も考えていないようでいて、心が過去や未来に旅している状態』なのです。」

  • さっきの会話、あれでよかったかな?
  • 今度の休み、何かあったっけ?
  • あの時こうすればよかったのかも…

こうした思考の時にDMNのスイッチが入ります。そして、気がついたら10分が経っていたり、やるべきことが後回しになってしまうことが起こります。

ミエちゃん
「DMNって、ずいぶんな悪者なのね!」


「でも、時にはぼーっとする時間も必要だと偉い人も言っていましたよ。」

チーフは言いました。
「もちろん、DMNは決してただの悪者ではありません。脳が持つ正常な機能であり、むしろ悪いどころか創造性の源でもあります。DMNが働いている時の心は、過去や未来に迷走しているだけではなく、

無意識に情報をつなぎ直感やひらめきが生ま新しいアイデアの下地が作られます。
これらは創造の準備運動のような働きもしています。」

  • お風呂に入っている時
  • 散歩をしている時
  • ひたすら拭き掃除に専念した時
  • ぼんやりしていた時

こうした時にふっと解決策などが浮かんでくることがあると思います。これらはDMNが働いてくれた証拠です。

音は感心しました。
「さすがチーフね!ただの昆虫マニアではなかったんですね!」

チーフも言いました。
「……音さんもさすがです。いつもぼーっとしているのはアイデアを生むためだったんですね。」


「……。」

【結論】

DMNは今を奪う回路でもありますが、ひらめきを生む回路でもあります。

人間生活というものは。
覚醒している時か、ぼんやりしているとき(悪く言えば昼行灯)の二択というより、
行ったり来たりする振動運動なんです!(どちらも必要)

ここで大切なのはDMNに気づいた時、現実に帰ることです。
その方法は自分で見つけることもできますが、参考までに、
音さんが素数を記憶するときに使うフレーズ法をお伝えします。

《あくまでも例文》

  1. そっとビート刻む誰も気づかない(赤)
  2. とてもかすかにそれは始まる(橙)
  3. 幾億年の時を超え(黄)
  4. その続きへ光に乗って(緑)
  5. 不思議な出来事に僕らはためらったね(青)
  6. 途方もないことが起きている(紫)
  7. 音波の洪水の中に(桃)
  8. 泳ぐ君を見つけたよ(茶)
  9. 淡い影だけの姿(白)
  10. 何かを求め手を伸ばす(黒)

お気に入りの歌の歌詞を10のフレーズに分け、それぞれに丸い色をイメージします。
それを口ずさむことで現実に戻る儀式的なスイッチにしています。


過去の痛みも未来の不安も抱えて生きていますが、それは悪いことではありません。
ただ、
気が付かないうちに今が薄くなっていませんか?
そんな時は、あなたのスイッチで帰ってきてください。

26日目『もっとゆっくり⁉』焦らずに進めるライフプラン。


今回のお話は、ワンパクな少年と少し痛いお母さんが「記憶に関する誤解」を実際の体験を通じて語る物語です。
「記憶って実はこういうことだったのニャ!」(=^・^=)

登場人物
ヒロユキ君
ヒロユキ君の母 (ティセ)
猫ちゃん

パートワン

『母、比較してしまうの巻』

ヨシノリ君の母は、成績が良い他の子供たちを見てこう言いました。


「あの子は本当に優秀で、親も鼻が高くて羨ましいわね。」

ヨシノリ君
(何言ってやがる、俺の出来が悪いのは親のあんたの責任もあるでしょうが)と無言の声で言いました。

[解説

ヨシノリ君の気持ちには一理あります。

もちろん、他の子を褒めるのは悪いことではありません。
でも、自分の子供を他人と比べるようなことは避けるべきです。

能力は同じ土俵にあるのです。
料理の素材は同じと考えてください。
ただし、無意識のうちに使う頭のスパイスが異なるため、成績に差が出るのです。
その秘密は記憶法という現象に過ぎません。

パートツー

『ヨシノリ君の母、パートで苦労するの巻』

ヨシノリ君の母は、家計の足しにしようとホテルの客室清掃のパートを始めました。

先輩が指示を出します。
「これはここで、あれは上で、チェックはここにして…」


「はひー!もっとゆっくりお願いします!」

覚えることが多く、驚きながら四苦八苦しています。

そんな中、同じ日に入ったにもかかわらず大学生のバイトは、すぐに覚えて楽しそうです。


「やっぱり若い人は覚えるのが速くていいわねぇ」

[解説

お母さん、そんなことは決してありません!
実は、記憶力は「年齢で劇的に落ちるわけではない」ことが、研究で明らかになっています。

筋肉と同じで日々の能力パワーアップがないと衰えます。
さらに、記憶の質は星座のように結びつきで強くなります。
趣味や雑学など何にでも興味を持って楽しんでる人はこれが強いのです。

若い学生が早かったのは、
単に記憶の星座が日常的につながり続けているから
というだけの話なのです。

パートスリー

『母さん記憶法を誤解するの巻』

今日家庭訪問の日。
なので洋先生に息子のことを相談します。

わざわざ化粧なんぞしてワクワクしながら待ちました。


「ヨシノリったら遊んでばかりで、今期の成績も最下位なんでしょう?
昨日もケンカしてきて母さん恥ずかしい思いばっかしているんですよ」

洋先生は少し吹き出しそうになったのをこらえて言いました
「大丈夫ですよ子供の個性には個人差がありますからね、ヨシノリくんの良さは成績では計れないんです。」


「しかしながら物覚えが悪いんで心配です。
先生、記憶法ってテレビで見たんですが、あれ、ヨシノリでもできますか?」

洋先生
「記憶法ならとっておきの方法がありますよ」


「ホントに!ぜひぜひ教えてください!」

洋先生
「いいですよ、ヨシノリくんに教えましょう。」

そう言って、洋先生は年代物のコニャックをいただいて帰りました。

【1週間後】


「ボン、記憶の勉強してる?」

ヨシノリ君
「やってるよ」


「どのくらい覚えたの?」

ヨシノリ君
「今月はoctoberなんだ」


「何、それだけ?」

ヨシノリ君
「そうだよ!」

ヨシノリ君
「来月は次の月を覚えなさいって言われたんだ!」


「まさかの……毎月ひとつ……?」

…その後、機会があったので洋先生に尋ねてみました。


「先生、記憶法って10分で単語を10個覚えるみたいな“裏技”じゃなかったんですか?」

洋先生
「お母さん……それがよくある誤解なんです」

[解説]

お母さんのように、魔法のように短期間で大量に覚えられるのが記憶法だと思ってる方は多いですが、それは記憶法のほんの一側面でしかありません。

人は一度にたくさんのことを覚えたいと望みますが、
実際には――
人間の脳は多くても一度に3つ程度のことしか処理できません。

大量の情報を一度にインプットしようとしても脳が疲弊し、無理だと感じて挫折します。
その結果、ほとんどの人はゼロで終わってしまうんです。

でも、今回ヨシノリくんが行っているように
月に一つ『細分化』
10月だからoctober『意味づけ』
来月はnovember『継続』
という3本柱で行えば1年後には12ヶ月の月の英語名を確実に覚えて、しかも忘れにくい記憶が形成されます。
(さらに習慣の力と能力の底上げと、自分にも出来た!という自信度が後の人生に効いてきます)

その後、ヨシノリ君の母も時間はかかったものの先生の理論が少し分かり始め、
ヨシノリ君の成長を楽しみにしながら、今日もホテルの仕事を頑張っています。

おしまい

25日目 『ラノベから始まるアタシの世界』音と雪江のポンコツロマンス

二人のキッチン

今日は田中くんの家のキッチンで、ゆきちゃんに料理を教えてもらった後、テーブルでおしゃべりを楽しみました。



「ゆきちゃん、ラノベも書いてるって本当?」

雪江
「学生の頃にたまたま始めたことで、いつの間にか習慣になっちゃったのよ」


「へぇ!お料理も得意なのに、創作までできるなんて!ゆきちゃん汚いよ!」

雪江
「えっ、汚いかしら⁉」
雪江は本気で鏡を見てチェックしている。


「ゆきちゃんも、かなりのものね」
「正直、感心するわ」

少し得意な雪江
「まあね!気づいたら単行本で三冊分くらいの長さになってたんだから」


「本当に!?長編ってモチベーションがないと続かないんじゃない?」

雪江
「簡単なことよ、最初から『長編を書こう』なんて考えてなかったから、まず最初の一つを終わらせようと思っただけなの」


「それって……目標の細分化、ってやつね!」

[解説]
人間の脳は、未来の長期的な作業を本能的に避けがちです。
全部を一度に考えると前頭前野が疲れてしまうからです。
だから正解は「まず一つだけ終わらせる」こと。
そうすると脳はドーパミンを出し、次の一歩が軽くなります。


雪江
「音ちゃんも書いてみたらどうかしら?あたしより博識なんだから、絶対向いていると思うわ」


「いやいや無理!私は、あの憧れの作家とつい比べちゃうのよね……」

雪江
「最初から上手な人なんていないよ?
自分の好きなものを書くのに、誰の許可もいらないのに」


「うっ、わかっているけど、グサッときた」

[解説]
雪江の言う通り、最初から上手に書けないのは当たり前ですが、多くの人はなぜかプロと比較してしまい、自分を恥じることが多いです。
しかし、創作は本来“自由な遊び”であり、脳に大きな刺激を与える行為です。
恥じる必要はまったくありません。



「ゆきちゃんの作品をちょっと見して!」

雪江
「見てくれるの!ありがとー!」
そう言って雪江はタブレットでテキストを見せてくれた。

音の心の声
(これ、時代劇なのかSFなのかわからない……正直言って、変!)

「な、なかなか独創的な世界観ねっ」

【後日談】

雪江さんに刺激を受けた音は、おじさんと少年のロマンスを描いた詞を真剣に執筆しました。

頑張って他の詞も書きましたが、翌朝誰にも見られないように袋に入れて処分しました。

おしまい


24日目『ループという妖怪』―仕事人間は、早く楽になりたい―

この仕事を終えれば楽になる──そう信じて全力で取り組んでも、なぜか未来はいつも忙しさに満ちている。
まるで見えない魔の手が、私を楽にしないように企んでいるかのようだ…

実はこの「終わらないループ」は、魔物や運命のせいではありません。
脳と組織の“仕組み”によって、誰しもが陥る現象なのです。

今回の物語では、そのループからどう抜け出し、どのように向き合うかを、ユーモアを交えつつ人生の速度を見つめ直すヒントとしてお届けします。


洋と追われる男の会話』―楽にならない理由とは―

追われる男:
最近、ふと気づいたのですが…今抱えているタスクを終わらせれば、一時的には楽になれるだろうと期待して、無理をしてでもどんどん仕事をこなしてきました。

しかし、実際には頑張って終わらせても、すぐにまた次の仕事が生まれてくるんで、全然楽にならないんです。
これ、私だけがおかしくて?他の人は普通なんですか?

洋:
いいところに気づきましたね。
それは“あなた一人だけではなく、何かを成し遂げようとしている人なら誰もが陥る心理”なのです。

「終わったら楽になるはず」と思っていても、実際には楽にならないでしょう。
これには理由があります。

何しろ人間の脳は、「未来に空白を期待するようにできている」んですよ。

タスクを抱えていると、

「これさえ終われば、ちょっと休めるだろう」

と自然に『未来に空白ができる』と信じ込みます。
マァこれは脳にとって一種の希望であり、防衛本能でもあります。
余裕のある未来は=『安全』というわけです。

しかし現実には…未来にその空白がほとんど生まれないため、「またかよ!」「休めねぇ……」というエンドレスな状況が生まれていたのです。


追われる男:
本当にその通りです。
では、なぜ現実は僕を楽にしてくれないのですか?

洋:
理由は大きく分けて2つあります。

① 心理的な理由:
タスクを達成したときの満足感は、一瞬で消えてしまうものです。
手に入れたかったものを得たときの感覚と似ています。
そうなると、脳はすぐに次の快感や刺激を求め始めます。

もしくは心の隙間を埋めるために
自ら新しい課題を創出しているのです。

人間は、そういう風に厄介にできているのですよ。

② 組織の構造的な理由:
「パーキンソンの法則」と呼ばれるもので、空いた時間は必ず新しい仕事で埋まる仕組みになっています。

企業は仕事を迅速にこなす人ほど、「余っている時間」に新しい仕事をプレゼントします。
組織は終わらせた仕事を『霧のかなた』へリセットし、すぐに次の未完了のタスクに移行せられるわけです。

しかも、完了に費やした頑張りの速度は普通とカウントされ、今後それより遅くなることは許されなくなりますからね。

だからどうしても、

優秀な人ほど仕事が減らない
=できる人ほど損をする

という構図が生まれてしまいます。キビシーイ!


追われる男:
なるほど…。では、僕自身が未来に空白を期待していながら、無意識のうちにまた仕事を求めているということですか?そんな馬鹿な……

洋:
いい質問ですね。

それは、あなたが大ばか者や抜け作でもなく、人間の脳が「未来の空白」いつも実際より大きく見積もってしまっているからです。
その結果、
『未来は軽く、今は重くのしかかっています。』

あなたが気づいたのは、「未来が楽になるだろう」という幻想のせいで、今を急ぎすぎてしまうという人間の心理構造そのものなのです。


追われる男:
では…どうすればこの『蟻地獄(ウスバカゲロウの幼虫)』から抜け出せるのですか?

洋:
心配無用、単純な話です。
まず「未来は楽にならない」と最初から思っておくことです。
そうすることで、今の負担が不思議なくらい軽くなります。
「タスクは自然に発生するもの」と前提を変えることです。
湧き水を汲み出すように、汲んでも汲んでもまた溜まる、そう思うことです。

その結果、『空白を作るために急ぐ必要がなくなる』でしょう。

タスクを終えたら、ちょっと止まってください。
ちゃんと達成感を味わう努力をしましょう!ここだけは少しだけ時間を作るのです。

そうすれば、脳の「まだ終わっていないものを探そう!」という未完了バイアスが弱まります。
したがって、空白の時間や余裕を、その都度きちんと感じられるようになりますよ。


最後に、一つ詩をお届けします。

[時間との和解]

多くの人が、焦ってしまう。

すぐに結果を求める。

でも歩み続ければいつかは着く。

結果も待てばやってくる。

急ぐよりも時々止まる。

速さよりも軌道に乗せる。

焦らなくても遠くへ行ける。

それが本当の人生の速度。


23日目『「待つ時間」を愛せば痩せる? 哲学ダイエットのすすめ』まこと雪江の豚さんチャレンジ!

食べるって幸せなひととき――

でも、その一瞬のために私たちはどれほど“準備”を楽しめているのでしょうか?
準備待つ楽しさも食事の一部です。この「準備の哲学」を理解しない限り、ダイエットはなぜかいつも失敗に終わります。


最近、オーナーのまこさんは目に見えて体重が増加していることに、従業員たちも薄々気づき始めました。しかし、誰もそのことを口に出すことはありません。

そんなある日、まこは親友でシェフの雪江に相談を持ちかけました。


まこ
「大変よ雪ちゃん!気づいたら太ってきてるの!
もしかして…呪われてる?」

雪江(心の声)
(いや、呪いじゃなくて…さっきも“味見”って言ってティラミス食べてたじゃない)

まこ
「雪ちゃんは細いからいいわよねぇ!」

雪江
「大丈夫よ。少しぽっちゃりのほうが男の人には人気なんだから」

まこ
「人気でも、ぶたさんにはなりたくないんやよ!
雪ちゃん、なんとかしてよ〜」

雪江
「そうね…。まず自分で料理してみるところから始めてみたら?」

まこ
「ダメダメ!自慢じゃないけど料理は壊滅的なんだから。
それに、そんな面倒なことして意味ある?」

雪江
「あるわよ。まこさん、一番大事な“哲学”が抜けてるのよ」

まこ
「えっ!食べるのに鉄学がいるん?」

雪江
「そう。“食べる瞬間”って一瞬で終わるでしょう?
あれは刹那的な快楽なの。だから『もっと、もっと』ってなる」

まこ
「あー…言われてみれば確かに。雪江さんが言うと説得力あるわ」

まこ
「なるほど…。料理の時間が楽しみの延長になるわけね」

雪江
「その通り! さすがオーナー、物分かりが早い。
じゃあ今日から一緒に頑張りましょう」

まこ
「うん!じゃあ最後にもう一回雪ちゃんのパフェで幸せになりたいっ」

雪江
「話聞いてたのかしら…仕方ないわね!」

まこ
「わーい!おいしい、おいしい、素敵ね、あれ?もうなくなっちゃった!」
「むむ…確かに食べるだけって刹那的ねぇ」

おしまい

「『もっと食べたい』が消えないのは、胃袋ではなく『脳』が満足していないから。
味覚を爆上げする5ステップがこちら↓」


「今日から実践!少量でも魔法のように味が変わる『食べ過ぎにくくなる方法
~「最高の一口を味わうための貴族の儀式」~

  1. 週に一度、自分が食べたいものを手作りする。
  2. 一口食べたら、なくなるまで次の一口を入れない。
    「口の中で溶けていくドラマを観察する」
  3. 「目を閉じる or 視線を落とす」、食べ物に集中して、ゆっくりとなくなるのを待つ。
  4. 食べ終わったら、一休みし、味の余韻を楽しむ。。
  5. 再び目を開けて、一口食べる。(2 に戻る)

「これはただの食事制限ではありません。
100円のチョコを1000円の価値に変える『味覚の錬金術』です」

解説

大枠の構造。

  • 味覚の感度を上げる
  • 満足感の単位を「量」から「体験」に移す

1 週に一度、自分が食べたいものを手作りする。

・手作り=選択・準備・期待が介在する
・期待があると、脳はドーパミンを先出しする
・結果、少量でも満足度が上がる

2 一口食べたら、なくなるまで次の一口を入れない。

・口腔内感覚(味・香り・温度・食感)
・嚥下反射が起きるまでの時間

をフルに使う方法です。
早食いが太りやすいのはカロリーの問題より処理速度の問題なので、ここは正しい。

3 目を閉じ、食べ物に集中して、ゆっくりとなくなるのを待つ。
これも理にかなっています。

ただし一点だけ注意。
「目を閉じる」は人によっては緊張を生む。
なので、心の中の理屈は、

・視覚情報を遮断
・味覚と嗅覚にリソースを集中

です。

4 食べ終わったら、一休みし、味の余韻を楽しむ。
ここがこの理論の核心です。

人は通常、
「次の一口」を基準に味を評価します。
この一休みで、

・味覚の残響
・唾液と香りの再構成

が起き、脳が「もう一度味わった」と錯覚します。
少量でも「食べた感」が増える理由です。

5 再び目を開けて、一口食べる。(2 に戻る)
循環構造になっていて論理的。
「行為 → 休止 → 行為」というリズムは、実際に摂食量を下げます。



22日目『洋と忙しい人の会話』 「一瞬を惜しめ? いや、落ち着きなさい──兼好法師の優しい真意」

忙しく生きる人ほど、「1分1秒を無駄にしてはならない」と思い込みがちです。
動画は倍速、読書は要約、移動中も常に何かの“効率化”。
もちろん悪いことではありません。現代人にとって自然な感覚です。

でも──
その価値観がいつのまにか「生き急ぐ」という形で人生を薄くしてしまう。

実は、兼好法師は700年前からそのことを淡々と見抜いていました。
「一瞬を惜しめ」と言いつつ、
その奥には驚くほど静かで、優しい眼差しがあるのです。

今日は、洋と“忙しい人”の会話を通して、
兼好法師の本当の意図をやわらかく読み直してみたいと思います。


『洋と忙しい人の会話』

時間に余裕がない人生ゲーム

忙しい人
「時は金なり」と言いますよね。(ルーズベルトの言葉)
だから、一分一秒も無駄にはしたくないのです。
私の時間は、普通の人より価値が高いと本気で思っています。


それを「生き急ぐ」と言うのです。
季節の移ろいを味わうこともなく、ただ急いで人生を終わらせようとしているように見えます。
その価値観が、結果として人生を“薄く”してしまっているのですよ。

忙しい人
でも、兼好法師も言っていますよ!
「一銭はわずかな金だが、貯まれば貧乏人を金持ちにする。
商人が一銭を惜しむ心は切実だ。
時間も同じで、一瞬を放っておけば一生はたちまち終わってしまう。」と。


なるほど。
でも、その部分だけを読むと兼好法師が“超ストイックな人”に見えるでしょう?
実は、そんな厳しい戒めではないのです。


◆兼好法師の言葉は本当は穏やか

―「一瞬を惜しめ」の裏にある、柔らかな生き方―


「一瞬を惜しめ」「無駄な時間を過ごすな」と聞くと確かに厳しいですが、
少し立ち止まって読めば、そこには静かで優しい心が流れています。

兼好が言いたかったのは、
「怠けるな」という叱責ではありません。

小さな時間を粗末に扱わず
今この瞬間を丁寧に味わいなさい
という、とても人間らしい願いなのです。

忙しい人
効率よくすべきだと思います。
待たされることや時間を取られることには耐えられません。


それとは少し違うのですよ。
兼好は「急げ」「休むな」なんて一言も言っていません。
むしろ逆です。

ぼーっとするなら、心からぼーっとする
遊ぶなら、思い切り遊ぶ
何をするにしても、浅くしない

自由に使える時間は、本来ごくわずかです。
だからこそ、
「そのわずかな時間を粗末にしないで」
と伝えているだけなのです。

これはつまり、
“時間に心を添える生き方” のすすめなのですよ。


◆倍速で生きるあなたへ

忙しい人
もちろん私も息抜きはします。
動画も見るし、小説も読みます。


でも、あなたは動画を倍速で見て、小説は要約ですよね。
兼好ならこう言うでしょう。

「もう少し落ち着きなさい」 と。

兼好は「今日という日は、明日死ぬと知らせれた日と同じ」と述べていますが、
これは“今日を最後だと思って生きろ”と脅しているのではありません。

本当はこうです。

“季節の移り変わる楽しさも味わえないなら、千年生きても変わらないよ”

言葉は鋭いけれど、その刃の根元には優しさがあります。
それが兼好という人なのです。

忙しい人
私は忙しくても楽しむことは心得ていますよ。心配は無用です。


◆後日談

その後、忙しい人はどうしたかというと。
ある日突然、肝臓が悲鳴を上げ、入院を余儀なくされました。
(もちろん洋は見舞いに行き、「ほら、落ち着きなさい」と笑って言いました。)


【結び】

ストイックではなく、静かな丁寧さ


急ぐことは確かに多くの用事を片づけます。

しかしその早さは、時間そのものを粗く消費する行為でもあります。

一方、兼好法師が説く「時間を大切にする心」は、西洋的な効率性ではなく、
一期一会や侘び寂びのように、今この瞬間の質と向き合う姿勢です。


ゆっくりと味わう時間は成果こそ少なく見えても、経験の厚みや内省の深さを育ててくれます。

すべてを侘び寂びで生きるのは難しいものですが、

時には、待っている数分や、ゆっくり流れる道路の中でさえも、
その穏やかな流れに身を委ねて、
人生を豊かにする『わびさびの間』として受け入れてみてはいかがでしょうか。


21日目『継続が分かる男の金の習慣』ー多動性の達人ー

小学生のまこたちが、休み時間に父親のことを話しています。

生徒 a
「うちのパパはピアノをひくのよ」

生徒 b
「わたしのパパなんか油絵を描くんだから!」

冥冥も負けじと身を乗り出します。

冥冥
「私の父は功夫の師範をやってるんだ」

みんな得意顔でそれぞれの自慢を語る。

まこ
「アタイのオトウなんか、毎日少しずつだけどいろんなことをしているんだぜ!」

生徒 c
「まこちゃんのお父さんって見た目が怖いわよね」

ヒソヒソ

生徒 d
「何だかあくどい商売をしているって噂だけど」

ヒソヒソ

まこ
「そんなことないんだから!」

生徒 a
「じゃいったいどんなことをしているのさ」

生徒 d
「何をやってるんだよう」と憎さげに言った

[まこが語る父親の習慣]

まこ
「ええと、まず朝きっちり5時から近所をロードワーク、帰ったら唱題を5分唱えてる、次にパソコンを開いてSNSで一つポストします、そのままパソコンで世界の名所画像シリーズを1枚作るの、次にFXのチャートをしばらく睨んで何か考えた後、動画の編集を始めて5分程度行ってからパソコンを閉じ、紙に漫画の絵を一つ落書きします。次はゲームね、二角取りを一面やったあと、チェスの対局を2手か3手して保存するの。それからトランプの並び順を記憶して、素数又は円周率をブツブツ復習をして、あと漫画や小説も1ページ読んで、アニメも一話の半分だけ観る、その後ラノベを書くんだけどこれはまぁ進まなかったり1行だけだったりなんで…最後にブログの更新もあるのよ。後はええとエビさんのお世話もするんだから」

一瞬シーンとした。
(何その脈絡のない過密スケジュール⁉)

生徒 c
「そういうのを飽きっぽいといわない?」

生徒 d
「あれこれ手を付けるより一つのことに秀でなさいってうちのお爺さんも言ってたわよ!」

まこ
「浅く広くいろんなことをするのもいいじゃないの」

その他の女の子
「でもちょこちょこしたところで何になるのよ?」

まこ
(ほんとに何になるのかしら……?)

[歌川先生の解説]

その話をたまたま近くで聞いていた歌川洋先生は「ほう」と感心してこう言いました。

歌川先生
「まこちゃんのお父さんすごいでんな!」
(語尾がへんてこなのはこの人の癖)

まこ
「あっ、せんせえ♡」

歌川先生
「それは決して浅く広くではなく、脳科学として理にかなっていんだ」

歌川先生は黒板に大きく書きました

『シナプスの可塑性』

歌川先生
「みんな、まこちゃんのお父さんは決して飽きっぽいのとは違う。
これは脳科学的にいうと『あえて脳に違う種類の刺激を与え続ける』という
高等テクニックだ。
運動をして、FX(数字)を考え、お絵かき(芸術)をする
異なる要素の素材を組み合わせることで全く新しいアイデアが生まれる、
これはデボノの提唱したシンクタンクの考え方にも通じているんだ。
さらに『マイクロ・ハビット(小さな習慣)』と言って、
低負荷の作業を続けることで成功率を上げることが出来る。
だから、たとえ一日五分でも年間にすると、なんと数十時間にもなる、
これが継続の大きな効果なんだよ!」

一つのことを極めるのもいいことですが、
近年はのような多動性のすごさが科学的に注目されています。
まこちゃんの父は異常な数のタスクを毎日こなす変態的天才なのですね。

生徒たち
「何だか難しいけど先生が言うのならすごいのかもしれないな」

【結び】

皆が感心してくれたので、今日のまこちゃん鼻は高々です。

夕日を背に意気揚々と帰宅するのでした。

おしまい

いかがでしたでしょうか。
あなたにも自慢できる習慣がありますか?