序章

 

【神秘と傷口の同居】

表向きは明るく振る舞う人気者。
だが宝鐘マリンは、誰にも見せない闘いを抱えていた。

肉体の限界に挑む痛み。
その痛みの先でしか見えない、美しさ。

魔力という名の毒。
それに魅入られていく危うさ。

誰も見たことのないマリン船長の物語が始まる。

「逆立ちをした彼女の足首には、20kgの鉄球が繋がれていた。」

なぜ彼女は、アイドルを捨てて“怪物”への道を選んだのか。

孤独な石室で繰り広げられた、禁断の三年間。

【宝鐘マリン物語:強さと美しさを求めて】

プロローグ

 

最近、巷で囁かれている噂がある。

「マリン船長、最近ちょっと……体つき変わった?」

配信画面に映る彼女の輪郭は、以前より研ぎ澄まされていた。
クロップド丈のTシャツから覗く腹筋。
スパッツの上のドルフィンパンツが、大腿のラインを隠しきれない。

「鍛えてる? ……まあ否定はしないけどさ」

笑いながら、彼女は軽く肩をすくめる。

「海賊が貧弱でどうすんのよ。
軟弱な船長なんて、一味のみんなもガッカリでしょ?」

冗談めかした声。
けれど――瞳の奥に宿る光だけは、冗談ではなかった。

最近のマリン船長は美しくなった。
だがどこか、ゾッとするほどに。

筋肉は鋼のように硬いのに、
触れれば吸い付くような滑らかさを予感させる。

アイドルと怪物。
少女と大人。

境界線の上で、彼女は笑っていた。

物語は、まだ始まったばかりだ。

 

続く

 

 


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