96日目【菌とバクテリアでできている】

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ある脳科学者が、

「私たちは一人で生きているんじゃない」

と話していたことが、記憶に残っています。

これは精神論ではありません。

文字通り、私たちは「一個の生命だけ」で生きているわけではない。

今日は、そんな少し不思議な話です。

(登場人物)

シンスケ30歳男
講演の治療家、男性60歳
mizue先生70歳男性


「腸はもう一つの脳?」

シンスケは、ある治療家の講演に行きました。

治療家
「腸は、実はもう一つの脳なんです」

さらに、

「腸の状態が、身体や心の不調にも関係している」

といいます。

そして、

「長年の研究から生み出されたメソッドを覚えて、あなたも他の人を楽にしてあげましょう」

……メソッドまでは、さすがに買えなかったシンスケ。

講演だけ聞いて帰りました。

ちなみに、その先生が、

「チョコレートほど身体に悪いものはない!」

と強く言っていたことにも驚きました。😦

シンスケは、それ以来チョコレートを食べていません。

もちろん、「チョコレート=身体に悪い」と単純に言い切ることはできません。

しかし――

「腸と身体、そして心は無関係ではない」

という部分は、現代科学でも研究されているテーマなのです。


後日、シンスケはmizue先生に聞いてみました。

シンスケ
「人間の体内には、ものすごい数の細菌が、自分と一緒に生きているんですよね?」

「もし、この細菌たちがいなくなったら、本体のボクも生きていけないんですか?」

mizue
「面白いところに気がついたのう」

「現在の生物学では、人間は自分の細胞だけで完結した存在ではなく、無数の微生物と共生して生きていると考えられているんじゃ」

「特に腸には膨大な数の細菌が暮らしている」

「身体の中に、一つの巨大な都市があるようなものじゃな」


【解説】

実際、腸内細菌を持たない「無菌マウス」を使った研究があります。

無菌マウスも生きること自体はできます。

しかし通常のマウスと比べると、

・免疫系の発達
・腸の発達や機能
・代謝
・ストレス反応
・脳の発達や行動

などに、さまざまな違いが現れることが分かっています。

つまり我々は、

「自分だけ」で完成している生き物ではない。

腸内細菌もまた、

食物繊維などを利用して代謝物を作ったり、
病原体の定着を防いだり、
免疫系の発達や調節に関わったり、

私たちの身体の中で仕事をしています。


mizue
「そして面白いのは、腸と脳も完全に独立しているわけではないことじゃ」

シンスケ
「お腹と脳が?」

mizue
「そうじゃ。神経、免疫、ホルモン、微生物が作る物質などを介して、腸と脳は双方向に影響し合っている」

「これを腸―脳相関などと呼ぶんじゃよ」

シンスケ
「ということは、食べるものも心に関係する?」

mizue
「もちろん食事だけで性格が決まるわけではない」

「じゃが、食生活は血糖や代謝、そして腸内環境にも影響する。身体の状態が気分や認知に影響することもある」

「最近では、腸内細菌とストレスや感情、行動との関係まで研究されておる」

シンスケ
「お腹の細菌が、ボクの感情にまで関係しているかもしれないの!」

mizue
「ああ。ただし、まだ分かっていないことも多い」

「だからこそ面白いんじゃ」

「ちなみに、身体に存在するセロトニンの大部分は腸で作られている。ただし、それがそのまま脳へ行って『幸福感』を作るわけではない。この辺りは少し複雑なんじゃよ」

シンスケ
「人間って、思っていたよりずっと複雑なんですね」

mizue
「そうじゃな」

「そう考えてみると、人間とは身体と心の境界がはっきりした“単独の存在”というより――」

「無数の生命と仕組みが重なって、今この瞬間を生きている存在、と考えることもできるのかもしれん」

シンスケ
「じゃあ……どこまでが『ボク』なんだろう?」

mizue
「そこじゃよ」


第二部 意識はどこだ?

mizue
「今度は、もっと厄介な話をしよう」

「意識とは何か?――じゃ」

シンスケ
「意識なら、脳で考えているんじゃないんですか?」

mizue
「もちろん、意識と脳活動には非常に深い関係がある」

「じゃが、『私』という主観的な意識が、どのように生まれるのかについては、まだ決定的な答えがない」

「こんなたとえ話がある」

ラジオから、モーツァルトが流れている。

ある天才が、

「この音楽は、ラジオのどこに入っているんだ?」

と思い、ラジオを徹底的に分解した。

抵抗器がある。
コンデンサーがある。
回路がある。

ところが――

どこを探しても、モーツァルトはいなかった。

シンスケ
「……それはそうですね」

mizue
「もちろん、これは『脳が外部から意識を受信している』ことを証明する話ではない」

「ただ、一つ面白い問いを残す」

脳をどこまで調べれば、“私”は見つかるのか?

シンスケ
「じゃあ、意識は外側にあるんでしょうか?」

mizue
「それも分からん」

「外にあるという証拠もない。しかし、なぜ脳の活動から『私は私だ』という主観が生まれるのか、その全貌もまだ分かっていない」

シンスケ
「そうすると……」

「ボクが何かを考えた、その最初のきっかけは、いったいどこから来たんだろう?」

mizue
「そうだのう」

「それに我々が何も意識していない間にも、心臓は動き、呼吸は調節され、腸は働き、免疫系は身体を守っている」

「お前さんが眠っている間もじゃ」

シンスケ
「なんだか……」

「ボク一人で生きているつもりだったけど、そうじゃないんですね」

「そう思うと、ボクはたくさんの“見えない働き”によって生きているんだなあ、と感じるのです。」

(終わり)


#謎は深まる #菌とバクテリアでできている #腸脳相関 #意識とは何か #生命の神秘

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