95日目 引退しない横綱たち!映画の凄まじい生存競争

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以前の72日目で『90%は消える』という話をしました。

イッシンは、ふと思います。

漫画の世界では、コミックス化するだけでも実は凄いこと。しかし、そのほとんどは初版だけで消えていったり絶版になったりして、現在も存在し続けているのは、ほんの極わずかです。

では、映画はどうでしょう?

毎年製作される膨大な作品のなかで、やはり生き残っているのは少数なのでしょうか?

映画マニアの捨次さんに聞いてみました。

捨次

「映画もかなり強烈な生存競争のある世界だよ。面白いのは、公開時のヒットが必ずしも『後世に残る映画』にはならないってことなんだ!」

「有名な『ブレードランナー』(1982)も、公開当初は興行的に苦戦し、評価も割れていた。

『遊星からの物体X』(1982)も、当時は厳しい評価を受けたんだ。

それが今では名作扱いだろ?」

イッシンは驚きました。

「へぇ~、あんな名作映画が、最初はヒットしなかったんだ!」

捨次

「昔の映画、たとえば1970年より以前の作品で、君の記憶にのこっているものは何かね?」

イッシン

「うーん、ボクが好きなのは『2001年宇宙の旅』(1968)と、『大脱走』(1963)、それに『続夕陽のガンマン』(1966)かな」

捨次

「まだまだあるぞ!『風と共に去りぬ』(1939)、『市民ケーン』(1941)、『カサブランカ』(1942)、『12人の怒れる男』(1957)、『ベン・ハー』(1959)、『サイコ』(1960)……これでもほんの一部だけれどね」

イッシン

「昔の映画って、けっこうたくさん生き残ってますね!」

捨次

「そう思うだろ? でも、それは錯覚なんだよ」

イッシン

「えっ! どういう意味なんですか?」

捨次

「ちなみに2024年だけでも、世界では約9600本もの長編映画が作られているんだ」


[第二部 記憶にある映画は怪物級]

捨次

「いわゆる『駄作』とか言われてけなされる映画もあるけれど、実は駄作と名前を挙げられるだけでも、選りすぐられたエリート映画なんだよ」

イッシン

「えっ?それはどういうことなのですか?」

捨次

「駄作として名前を挙げてもらえるだけ、まだ記憶に残っているんだよ。

その陰には、駄作とさえ呼ばれず、名前そのものまで忘れられた映画が無数にある」

イッシン

「駄作と言われることすらなく、ですか!?」

捨次

「さらに厳しい現実として、映画は翌年も作られ続ける。似たような映画は比較され、時間とともに切り落とされていく物もあるんだ。

新しい映画も、古い映画も、我々観客の前では『同じ土俵』に立っている。

言ってみれば、歴代の横綱が引退せず、ずっと土俵に残っているようなものだね」

イッシン

「そうだったんですね……凄まじい映画の生き残りの世界。何十年も前の横綱が土俵から降りてくれないんだ(笑)。新入りは過酷ですね」

捨次

「笑っちゃうよね。我々がネットの配信で映画を探そうと思ったら、『2001年宇宙の旅』(1968)も『エイリアン』(1979)も『アギーレ/神の怒り』(1972)も、今日の新作と全く同じ画面に並んでいるんだから」


[追記]

【先入観を切る】

以前は、単純に。

名作と褒められる作品=「勝ち」
駄作と言われる作品=「負け」

くらいに一括りにしていました。

でも今回のことを考えているうちに、

「えっ!? 駄作と言われること自体、実は凄いことなんじゃないか?」

という、逆説のようなことに気が付きました。😁

なぜなら、本当に忘れ去られた映画は「駄作」とさえ呼んでもらえないからです。

たとえば『2300年未来への旅』(1976)。

以前のボクは、一部の厳しい批評を読んだことで、なんとなく「失敗作なのかな?」という先入観を持っていました。

ところが、そんな他人のフィルターをいったん外して自分の目で観てみると――

「なんだこれは。もの凄く面白いじゃないか!」

今では、ボクにとって革新的な名作中の名作です。

この映画は50年後の今なお議論されている。
この映画は、まだ土俵から降りていないのだ。


【観る人が追いついた】

イッシンは過去に、公開初日に勢いで観た『○○○○姫』(1997)という映画がありました。
しかし、そのときは特に感じるものもなく、すっかり忘れてしまっていたのです。

そして最近、久しぶりに機会があって再びその映画を観て、驚きました。

「あの時に観た映画と全然違う!」

そこでイッシンは気がついたのです。

この映画は公開時ではなくて……30年目の今こそが、出会うべき映画だったのキャッ!と。😢

#映画 #生存者バイアス #90パーセントは消える

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