MURANAKAさんは『プロのサイクリスト』の20歳。
サイクリングスクールのヘッドコーチも努めている。
『絶対に追いつけない』『MURANAKAコーチ、ためらいがない!』と恐れられる厳しい鬼の一面もあるが、自ら率先してみんなに手本を見せるユニークさも併せ持つ人物だ。
そんな、面白くて凄いと生徒たちから親しまれているMURANAKAコーチには、ちょっと変わった習慣があった。
生徒たちの中では、こんな噂が絶えない。
「コーチは絶対に1年365日練習しているんだ!」
「1日も欠かさず自転車に乗っているに決まってるよね。」
気になった生徒の御代(みよ)は、直接聞いてみた。
「コーチって、どんだけ連続して自転車に乗っているんですか?」
MURANAKA
「15歳から乗っているよ」
御代
「やっぱり休み無しですか?」
MURANAKA
「まさか!」と彼女は笑った。
「週に一回は、練習もまったくせず自転車にも乗らない日があるわよ」
意外な答えだった。自転車にも乗らず、運動もしない日があるというのだ。
御代
「えっ!? 運動もせず自転車にも乗らない日って、どんな秘密のトレーニングをしているんですか? 差し支えなければ教えて下さい!」
MURANAKA
「何も難しい事は考えずに、ゲームをしたり漫画を読んだり、アニメを見ているだけだよ」
15歳の時から、ずっとそうなのだそうだ。
御代は驚いた。ストイックなコーチのイメージがぱっと変わってしまった。
それでプロになれるのだから、やっぱり才能が違うのだろうか……。
MURANAKA
「才能じゃなくてね、いつも『5年後の自分』を意識していたからだよ」
御代
「5年、ですか?」
「アタシ、5年後の自分なんて想像したくないなぁ……」
他の生徒たちも口を挟む。
しのぶ「5年後なんて、どうなってるかわからないよ」
よしえ「うちのオバサンなら『生きてるかどうか分からない』って言うね」
MURANAKA
「生きてるか死んでるかは神様じゃないと分からないけれど。でもね、15歳のとき、私は『5年後はプロになってる』と信じていたし、そのためにできることを続けていたら、今ここに立っていたよ」
御代
「それって、自分に言い聞かせてるってことですか?」
MURANAKA
「うまくは言えないけれど、そう思わずにはいられなかったのよね」
御代
「今はもう、その目標は達成されたんですね」
MURANAKA
「うん。だから今度は『さらに5年後も、この道に立っている』と思っているよ」
御代
「さすがMURANAKAコーチ。さらに5年後も見つめているんだ!」
MURANAKA
「5年後も走っていたいと思うと、今日だけ無理をしても仕方ないって分かるんだよ。練習する日だけじゃなくて、身体を休める日も大事になるの」
御代
「あっ! 何もしない日も、5年後まで続けるために必要なんですね!」
MURANAKA
「5年という長期的な旅を走り抜くには、月に4日くらいの遊び(休息)は、むしろ壁を乗り越えるために必要な時間なのよ」
御代
「そうだったんですね……! アタシも『5年後』を意識してみようかな」
※
このようにMURANAKAさんは、15歳のときから「5年後の自分」を見つめてきました。
5年後のことなど、誰にも分かりません。運命は最初から決まっている、と考える人もいるでしょう。
それでも、「5年後もこの道に立っていたい」と思うことで、今日の過ごし方は変わります。
無理をして一日を使い切るのではなく、あえて自転車に乗らない日を作る。ゲームをしたり、漫画を読んだりして、心と体に空白を残す。
「休む」は「止まる」とは違うということです。
5年後も同じ道に立っているために、今日はいったん、自転車から降りる。
それもまた、長い旅を走り続けるための大切な一日なのです。
(終わり)
#ブログ更新 #継続の秘訣 #休息の大切さ #長期視点 #プロの思考






