65日目 自分と世界の境界は、脳が作っている

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「自分と世界の境界は、脳が作っている」という言葉にピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。

本来、あなたは全体の一部であり、同時に全体そのものでもあります。そして、脳はそのことを常に遮っています。

✦ 上級の修行者たちは『瞑想』『禅』『ヨガ』などの方法を通じて、時には世界と一体になることがあると言います。

これは、無の境地を求め、こだわりや怒り、欲から離れた結果、脳が『自分』と『自分以外(世界)』を分けていた強い境界線が消えてしまうからです。

その結果、修行者の脳は『自分という存在の終わり』を失い、まるで目の前の空間や宇宙全体に自分自身が広がっているかのような「絶対的感覚一体感」が引き起こされます。

哲学では「主客未分」という考え方があります。この時、深い安心感や孤独からの解放といった幸福感に包まれるとされています。

世界から切り離す能力

しかし、一体感のままでいるとどうなるでしょうか?

深い幸福感がある一方で、その生命は危険な裸の毛虫になってしまうのです。

自分と世界を切り離す思考は、生物として生き残り進化するために不可欠な意味を持っています。

例えば、頭上に落ちてきそうな大きな岩があっても、自分自身だから恐れを感じません。

巨大な猛獣がいても、「それも自分の一部である」と認識します。

そのため、私たちの脳には『自己方向定位連合野』という領域があり、「自分と他のすべてを分けよう!」という監視が24時間絶え間なく行われています。

恐怖や不安、自他を分ける壁は『高性能なアラートシステム』であり、脳が毎秒膨大なエネルギーで作り出している『防壁』です。また、『世界と切り離された孤立した主体』であるという《錯覚》でもあります。

このことによって、こだわりや執着、自他の比較、欲、不安、仕事上の役割などが「自我(エゴ)」として形作られます。

私たちの日常にも起こる

修行者だけではなく、私たちの日常にも切り離される瞬間が存在します。

  • [芸術家やアスリート]
    道具が自分の手足のように感じられ、空気と体が一体化する瞬間。
  • [圧倒的な大自然に触れたとき]
    広大な山々や満天の星空を見上げたとき、大自然の一部になったような心地よさ。

また「医学や脳科学の世界でも、脳の怪我や特定の状態によってこの境界線が揺らぐことが知られています」

統合失調症の「自我漏洩」の場合は、幸福の一体感とは異なり、「自分を守る壁が壊れる」ような恐怖感を伴います。

どちらか一方が正しい訳ではない

  • 世界と分ける思考
    現実社会を生き抜き、生活を営み、目標を達成するために不可欠なシステムです。
  • 世界と一体になる感覚
    ストレスや執着で心が擦り切れたとき、リセットし癒しを得るための重要な要素です。

このシールドがなければ、執着のない楽園になる一方で、社会生活を送ることや自分の身を守ることが著しく困難になるという厳しい側面もあります。

修行のワンポイント

まずは前回お伝えした『マインドフルネスの食事法』を実践してみてください。

そして、空を見上げ、自然の音を聞いてみましょう。

私たちは世界から切り離された存在なのか、それとも一時的に境界線を引いているだけなのか。

答えはわかりませんが、夜空を見上げたとき、ふとその境界線が薄くなる瞬間があるかもしれません。

#哲学 #脳科学 #瞑想 #生存戦略

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