64日目【速飯は特技なのか】

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ボクが昔、都市ガスの現場仕事をしていた頃のことです。

毎日時間に追われ、ゆっくり食事をする余裕がありませんでした。
当時は「速飯は芸のうち」などという言葉さえありました。

けれど今思えば、あれは芸ではなく、身体を削る習慣だったのかもしれません。

ストレスは溜まり、胃腸も悪くなり、何を食べても味がよく分からない。
ただ空腹を埋めるためだけに、食べ物を喉へ流し込んでいました。

だからこそ、これを読んでいる方にはお願いしたいのです。

忙しい時は仕方ありません。
ですが可能なら、食事をもう少しだけ大切にしてほしい。


登場人物

  • 現場作業員:コウイチ
  • 野菜料理コック長:yukie

『時間を無駄にしたくない気持ち』

コウイチの好物のひとつに、卵かけご飯(TKG)があります。

一方、コック長のyukieは、卵も白米もほとんど食べません。
醤油も使わないため、TKGはまるで異国の食べ物に見えていました。

ところで、日本では昔から卵かけご飯を食べていたわけではありません。
生卵を安全に扱えるようになってから広まった、比較的新しい習慣です。

そして、

  • お茶漬け
  • 牛丼の「つゆだく」
  • 流し込むような食事

これらには共通点があります。

それは、

「手間をかけず、速く食べられる」

ということです。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
忙しい現代では合理的な面もあります。

ただ、事実だけを言えば――

“喉を通過するための食事”

になりやすいのです。


それによりどうなるか

  1. 醤油や濃い味に頼る
  2. 満足感が薄く、食べ過ぎやすい
  3. 「食べた幸福感」が残りにくい

さらに悪い習慣

  • ゲームをしながら食事
  • スマホを見ながら食事
  • 新聞や本を読みながら食事

特に日本では、「新聞を読みながら食事」を親の姿で見て育った人も多く、それを自然なことだと感じているかもしれません。


『両方は同時にできない』

日本人なら一度は聞いたことがあるでしょう。

「聖徳太子は10人の話を同時に聞き分けた」

という有名な話です。

その影響もあってか、コウイチにはどこか、

「二つくらい同時にできるはず」

という感覚がありました。

しかし実際、人間は基本的にマルチタスクが苦手です。

食事は、本来、副交感神経が優位になる“休息”の時間。
いわば、小さなマインドフルネスです。

一方で、

  • ゲーム
  • 読書
  • 動画視聴

これらは交感神経を刺激し、思考や集中を必要とします。

つまり、脳は二つを同時に処理しているのではなく、意識を行ったり来たりさせているだけなのです。

結果として、

  • 食事も中途半端
  • 集中も中途半端

になり、時間まで失ってしまう。

コウイチは、それに長い間気づきませんでした。


yukieの『食事メソッド』

そんなコウイチを見て、yukieは言いました。

【200円のブラウニーを1000円のスイーツに変える、シンプルな5ステップ】

  1. 自分で手間をかけて作る(創造)
  2. 食べ物を見て、口に入れる瞬間を感じる(遭遇)
  3. 目を閉じ、味だけに意識を向ける(対話)
  4. 喉を通る瞬間を感じる(完結)
  5. 食後の余韻を楽しむ(昇華)

そして、また②へ戻る。


シンプルですが、これこそが最も身近なマインドフルネスなのかもしれません。

  • 過食を防ぐ
  • 食事の満足感を高める
  • 味覚を取り戻す
  • 心と身体を整える

そうした効果も期待できます。

一万円のコース料理が特別なのではありません。

“特別な食べ方”が、食事を特別にしてくれるのです。

ちなみにyukieは、こうも言いました。

「卵かけご飯は、②と④だけで終わりやすい」

と。


本来の『食の豊かさ』

以前の記事でも書きましたが、

「食べる」

だけを見ると、それは“点”です。

ですが、

  • 食材を選ぶ
  • 手に入れる
  • 調理する
  • 盛り付ける
  • 味わう
  • 余韻を楽しむ

ここまで含めると、“線”になります。

本来の豊かさとは、この「線」の部分なのかもしれません。

毎日は難しくても、週に一度くらいは、そんな食事を取り入れてみたいものです。


yukieの最後のアドバイス

スマホを消してください。
テレビも消してください。
新聞も、本も閉じてください。

そして――

  • 口に入った瞬間
  • 味わっている時間
  • 喉を通る感覚
  • 食後の余韻

そこへ意識を向けてください。

人間には、

「快感を味わい、余韻として処理する時間」

があります。

よい音楽を聴いたあと、思わず拍手したくなる。
あの感覚に近いものです。

食事もまた、本来はそういう体験なのかもしれません。


でも、届きにくいという事実

なぜ、こういう話は届きにくいのでしょうか。

理由は単純です。

地味だからです。

何十年も同じ習慣を続けていると、

「今さら変える必要はない」

と脳が判断します。

さらに現代では、

  • 効率
  • 時短
  • ながら作業

が強く求められます。

そのため、実践する前から、

「無駄だ」
「意味がない」

という命令を脳が下してしまう。

だからこそ。

実際にやってみて、初めて分かる人だけが、大きな感動を得るのかもしれません。


さて、現場作業員のコウイチくん。

yukieの食事メソッドに気づくことができたのでしょうか。

結果は、ご想像にお任せします。

#食習慣 #マインドフルネス #スローリビング

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