59日目 アゲイン『感動をもう一度』

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捨次 「僕が子供のころは、夏になると田んぼにカブトエビホウネンエビが当たり前にいたんですが、今や特別な場所でしか見られないようですね。」

「どちらも何億年も姿を変えていない『生きた化石』ですからね。カブトエビは泥をかき混ぜて草取りをしてくれるし、透き通った体で泳ぐホウネンエビは『現れると豊作になる』と言われる水辺の縁起物です。それだけ水と土が健全な証拠なんですよ。」

捨次 「どうしてそんなに減ってしまったんでしょう?」

「一番は農薬の影響、そして現代の効率的な水管理です。カブトエビの卵は冬の間に土が『完全に乾燥』しないと春に孵化しないんですが、今の田んぼのサイクルとはタイミングが合いにくくなっているんです。」

捨次 「なるほど……。あの頃の、生き物たちで賑わう田んぼの感動をもう一度味わいたいです。」

「かつての田んぼは、カエルや鳥、昆虫が一斉に集う命のオーケストラのようでしたからね。今は静かになりすぎて物足りないくらいです。」

捨次 「実は、5月の終わりに休みを取って、山間の田んぼへ探しに行こうと思っています。5〜6月のわずかな期間しか現れないので難しい挑戦ですが、挑んでみます!」

「山の田んぼなら大チャンスですよ!昔ながらの農法が残っていて農薬が少なく、浅くて温かい水が彼らの理想的な環境になります。5月末なら、孵化したてから少し育った個体まで、いろんな成長段階に出会えるはずです。」

捨次 「住んでいる場所を見つけたいので、小回りの利くスクーターで出かけます。虫眼鏡と小網、小型の水槽、それから長靴とタオルも準備万端です。」

「準備中の高揚感は、まるで遠足前夜ですね。当日は晴れるよう祈っています。自然の中の小さな命から、きっとたくさんのインスピレーションをもらえるはずです。」

捨次 「ええ、もし見つけられたら、あの頃の子供心がよみがえる気がします。写真に残したり静かに観察できたら最高ですね。戻ったら、写真や言葉で友人たちにも伝えたいと思います。」

「それは素晴らしい!自然の美しさと儚さを五感で満喫してきてください。それでは、良い旅を!」

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