息子の(nob)は、再び父(mizue)に尋ねました。
「トランプを並べた際、赤と黒が完全に交互に並ぶとしたら、その組み合わせだけでも非常に多く存在するのではないでしょうか?」
父
「その通りだ。」
「赤黒赤、または黒赤黒のように交互に並べる組み合わせだけでも、宇宙規模の数になるのだ。」
息子
「しかし、適当に並べても、そうなる可能性が低いと感じます。」
「なぜそう感じるのでしょうか?」
父
「うむ、それは良い着眼点だ。」
「まずは『赤黒の交互』がどれくらいになるのか、考えてみよう!」
26!✕26!✕2
8.06✕10⁵³通り
これは八百阿僧祇という仏教の巨大単位にも達する数字だ。
息子
「父上、すみません。どうしてその計算式になるのか理解できません。😞」
父
「気にすることはない、階乗の式は文字だけ見ると呪文のようだが、一歩ずつ見ていくと『なるほど』と納得できるはずだ。」
「まず最初に、最下段に赤を26種類並べよう。」
「その1枚1枚の上に黒が26種類乗っかっていると想像してみてくれ。26✕26」
「さらにその黒、一枚一枚の上に赤が25種類乗っかっていると考えてみよう。26✕26✕25」
「これが最後の1になるまで計算されると、合計が先ほどの数になるのだ。」
「もし、赤と黒が3枚ずつのミニトランプ(合計6枚)なら、計算は
2×(3×2×1)×(3×2×1)
で、合計72通りになる。
「どんなに数が増えても、計算式は同じだ。」
「これはあくまでも『組み合わせがいくつあるか』を計算しただけであって、出現しやすさ(確率)とは全くの別物だと心得ておきなさい」
息子
「なんとなく分かりました。」
「とにかく、想像を超えるほどの組み合わせが存在するのですね。」
「では、なぜ起こりにくいと感じるのでしょうか?」
父
「そこが人間の無意識の不思議なところだ。」
「膨大にある。しかし、簡単には現れない。」
「それは、トランプの組み合わせの大きさを理解しているわけではなく、概念として知っているからかもしれないね。」
「トランプの全ての組み合わせは」
52!
「これに先ほどの」
26✕26✕2
「を割ると」
10¹⁴分の1
「約100兆回に1回の確率だ。」
息子
「毎日100回並べても、発生しないのでしょうか?」
父
「ああ、その通りだ。お前があと100年、毎日100回並べても、365万回しか引けない。」
「人間が一生かけても、偶然に出会える確率はゼロに近い。これが人間の限界かもしれないな。」

■ 結び
世界には、無数に存在しているのに、
人間が一生かけても出会えないものがある。
だからこそ、出会えたものは、少しだけ特別なのかもしれない。





