ボクが昔、都市ガスの現場仕事をしていた頃のことです。
毎日時間に追われ、ゆっくり食事をする余裕がありませんでした。
当時は「速飯は芸のうち」などという言葉さえありました。
けれど今思えば、あれは芸ではなく、身体を削る習慣だったのかもしれません。
ストレスは溜まり、胃腸も悪くなり、何を食べても味がよく分からない。
ただ空腹を埋めるためだけに、食べ物を喉へ流し込んでいました。
だからこそ、これを読んでいる方にはお願いしたいのです。
忙しい時は仕方ありません。
ですが可能なら、食事をもう少しだけ大切にしてほしい。

登場人物
- 現場作業員:コウイチ
- 野菜料理コック長:yukie
『時間を無駄にしたくない気持ち』
コウイチの好物のひとつに、卵かけご飯(TKG)があります。
一方、コック長のyukieは、卵も白米もほとんど食べません。
醤油も使わないため、TKGはまるで異国の食べ物に見えていました。
ところで、日本では昔から卵かけご飯を食べていたわけではありません。
生卵を安全に扱えるようになってから広まった、比較的新しい習慣です。
そして、
- お茶漬け
- 牛丼の「つゆだく」
- 流し込むような食事
これらには共通点があります。
それは、
「手間をかけず、速く食べられる」
ということです。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
忙しい現代では合理的な面もあります。
ただ、事実だけを言えば――
“喉を通過するための食事”
になりやすいのです。
それによりどうなるか
- 醤油や濃い味に頼る
- 満足感が薄く、食べ過ぎやすい
- 「食べた幸福感」が残りにくい
さらに悪い習慣
- ゲームをしながら食事
- スマホを見ながら食事
- 新聞や本を読みながら食事
特に日本では、「新聞を読みながら食事」を親の姿で見て育った人も多く、それを自然なことだと感じているかもしれません。
『両方は同時にできない』
日本人なら一度は聞いたことがあるでしょう。
「聖徳太子は10人の話を同時に聞き分けた」
という有名な話です。
その影響もあってか、コウイチにはどこか、
「二つくらい同時にできるはず」
という感覚がありました。
しかし実際、人間は基本的にマルチタスクが苦手です。
食事は、本来、副交感神経が優位になる“休息”の時間。
いわば、小さなマインドフルネスです。
一方で、
- ゲーム
- 読書
- 動画視聴
これらは交感神経を刺激し、思考や集中を必要とします。
つまり、脳は二つを同時に処理しているのではなく、意識を行ったり来たりさせているだけなのです。
結果として、
- 食事も中途半端
- 集中も中途半端
になり、時間まで失ってしまう。
コウイチは、それに長い間気づきませんでした。
yukieの『食事メソッド』
そんなコウイチを見て、yukieは言いました。
【200円のブラウニーを1000円のスイーツに変える、シンプルな5ステップ】
- 自分で手間をかけて作る(創造)
- 食べ物を見て、口に入れる瞬間を感じる(遭遇)
- 目を閉じ、味だけに意識を向ける(対話)
- 喉を通る瞬間を感じる(完結)
- 食後の余韻を楽しむ(昇華)
そして、また②へ戻る。
シンプルですが、これこそが最も身近なマインドフルネスなのかもしれません。
- 過食を防ぐ
- 食事の満足感を高める
- 味覚を取り戻す
- 心と身体を整える
そうした効果も期待できます。
一万円のコース料理が特別なのではありません。
“特別な食べ方”が、食事を特別にしてくれるのです。
ちなみにyukieは、こうも言いました。
「卵かけご飯は、②と④だけで終わりやすい」
と。
本来の『食の豊かさ』
以前の記事でも書きましたが、
「食べる」
だけを見ると、それは“点”です。
ですが、
- 食材を選ぶ
- 手に入れる
- 調理する
- 盛り付ける
- 味わう
- 余韻を楽しむ
ここまで含めると、“線”になります。
本来の豊かさとは、この「線」の部分なのかもしれません。
毎日は難しくても、週に一度くらいは、そんな食事を取り入れてみたいものです。
yukieの最後のアドバイス
スマホを消してください。
テレビも消してください。
新聞も、本も閉じてください。
そして――
- 口に入った瞬間
- 味わっている時間
- 喉を通る感覚
- 食後の余韻
そこへ意識を向けてください。
人間には、
「快感を味わい、余韻として処理する時間」
があります。
よい音楽を聴いたあと、思わず拍手したくなる。
あの感覚に近いものです。
食事もまた、本来はそういう体験なのかもしれません。
でも、届きにくいという事実
なぜ、こういう話は届きにくいのでしょうか。
理由は単純です。
地味だからです。
何十年も同じ習慣を続けていると、
「今さら変える必要はない」
と脳が判断します。
さらに現代では、
- 効率
- 時短
- ながら作業
が強く求められます。
そのため、実践する前から、
「無駄だ」
「意味がない」
という命令を脳が下してしまう。
だからこそ。
実際にやってみて、初めて分かる人だけが、大きな感動を得るのかもしれません。

さて、現場作業員のコウイチくん。
yukieの食事メソッドに気づくことができたのでしょうか。
結果は、ご想像にお任せします。





















